遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

歴史的な「悲しいアカデミー賞授賞式」にいろいろ考えさせられました

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アカデミー賞(授与式)でウィル・スミスがクリス・ロックにビンタした件。

私なら、妻がクリスのジョークに瞬時に傷ついて泣きそうになっているので、「クリスやめてくれ!妻に謝罪してくれ!」とその場で立って声だけで抗議すると思います。

ただしそれは今になって言えることで、その場でとっさにそんな行動はとれなかったかもしれません。

妻の意に沿えず抗議行動ができなかったら、その後長い間落ち込んでそのことを一生後悔すると思います。後悔もするけど、そういうことになってしまった原因を作ったクリスのことを許さないかもしれません。でもその場で謝ってくれたら、クリスのことをすぐに許せると思います。

・ウィル・スミスは、もしあのジョークをアフリカ系(以下、黒人と言います)以外の人間が言ったとしたらどうだったろう?

・黒人以外の人間だったら、黒人のノミネーターの妻のことをジョークにするだろうか?しないだろう。

・結局主演男優賞を受賞したウィルだったけど、あんなことがあってそのまま会場にいたウィルと妻は楽しくなかったろうな。生放送で見ていた人たちや会場にいた人も、楽しくないセレモニーに変わってしまったのだろうな。

・クリスは過去にも公式の場でアジア人のことを揶揄したジョークを言ってひんしゅくを買い抗議を受けた経験があるそうなのだけど、今後主催者は彼を生放送やライブでしゃべらす機会を与えないないだろうな。

・ウィルは正式にクリスやアカデミー会員に謝罪をしたようだが、主演男優賞を受賞していなかったら謝っただろうか?

などなど、いろんなことを考えさせられた出来事でした。

若い頃は、アカデミー賞の授与式はとても楽しいショーでした。とても段取りのいいスマートに演出された式典で、素顔のスターたちが見られるし、そのスターや有名人がステージでいろいろパフォーマンスをしてくれたり感動的なスピーチをしてくれたりで、楽しい時間を過ごすことができていました。

しかしここ20年くらいは、人権問題などでぎくしゃくする場所でもあって、映画の祭典という色合いが喪失してしまった感が満載でした。

そもそも、授賞式自体が演出で計算されていたもので、若い時は楽しんでいたというのも勘違いで、もともとそう感動的なものじゃなかったのかもしれません。

いま日本では洋画などあまり見なくなりましたから、誰がオスカーを取るなどといったことで盛り上がることもなくなり残念ではありますが、私のなかではアカデミー賞やオリンピックやノーベル賞の権威が失墜しつつあるのは、私の年齢だけの問題じゃなさそうに思います。

ということで、今回の事態で歴史的な「悲しいアカデミー賞授賞式」になってしまいましたが、今後はもっとスマートな演出を考えたほうがいいと思います。