遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

不都合な真実

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NHKのBSでのアカデミー賞特集で「不都合な真実」を鑑賞。
 
2007年に授賞式が行なわれた第79回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞したのが、
不都合な真実」。
映画制作スタッフはちゃんと存在するが、まあアル・ゴアの映画だといってもいいだろう。
この映画を契機に、環境問題の啓発に貢献したとして、ゴアはノーベル平和賞を受賞した。
 
映画は、ゴアの講演のような形式で話が進められていくのだが、
大統領選でブッシュに敗れたゴアは、その後、環境問題についての講演を全米や各国で千回以上行なっている。
アメリカ合衆国自体は批准を拒否している京都議定書だが、
ゴアの地道な講演による働きかけが功を奏したのか、全米の219都市が独自に京都議定書を批准している。
 
映画の最後に、ゴアは人類の英知について私たちに語りかける。
有史以来さまざまな困難を自分たちで解決してきたではないかと訴えかける。
 
人類は、自由と自決権を確立し、奴隷や農奴を解放した。
婦人参政権を獲得し、ファシズムを打倒し、非暴力の運動を広めてきた。
アパルトヘイトを撤廃したマンデラを世界中が支持したではないか。
世界中の医師や研究者が過去も今も未来も、疫病やさまざまな病気から人類を救おうとしている。
だから、地球温暖化を人類は止められる、とゴアは訴える。
 
3.11をきっかけに、あらためて自然の驚異と我々の小ささをを感じるのだが、
人類が手を染めてしまったことは、人類自らが取りやめることができる。
核拡散を食い止め、原発を止めることも、私たちの英知を持ってすればた易いことだと、
不都合な真実」を見てあらためて思ったしだいである。
 
今見ても遅くないし決して古くない作品である。