遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

「超常識」もここまで来ると「非常識」MBS毎日放送は大阪メディアの模範たれ!

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以前に少しふれましたが、毎日放送MBSが放送した日本維新の会代表たちが出演した関西ローカルの1月1日の特番について、毎日放送は「政治的公平性」の不備を認めました。

番組は、日本維新の会松井一郎代表(大阪市長)、吉村洋文副代表(大阪府知事)、創設者の橋下徹氏をそろって出演させたもので、視聴者から政治的に中立でないと多くの意見が寄せられ、MBSは内部調査を進めていて、このたび「政治的公平性に対する認識が甘く、バランスのとり方が極めて不十分だった」と問題点を認めました。

番組制作側(バラエティー担当)は、「松井氏と吉村氏が出演した回は明らかに高視聴率で、(橋下氏を含めた)3人に出てもらえたら面白いと思った」と判断したようですが、放送局に籍を置く身としては甚だ軽率な判断だと言わざるを得ません。

たとえば、(自民系の)小泉純一郎岸田文雄(総裁)と茂木俊充(幹事長)の3人だけが出演した番組を作ったとしたら広く世間から抗議の声が出ることは容易に想像できると思いますし、これが共産党不破哲三志位和夫(委員長)と小池晃(書記局長)だけが出演した番組なら、多くの「街宣車」が放送局に押し寄せることも想像できます。

なのに大阪のメディアにいると、橋下と松井と吉村を揃い踏みさせることに何の想像力も湧かないというのはどういう精神構造をしているのか?という問題で、「局内で内部調査をした結果」などとずいぶんノー天気なことを言っていますが、あまりにも勘が鈍くてフットワークも最悪です。

毎日放送は、「毎日」という看板から容易に想像できますが、毎日新聞系列の放送局です。いまや資本関係はない(?)と思いますが、毎日新聞、TBS、MBSは明らかに同じ細胞から生まれたメディアです。

いまの毎日新聞は、数あるメディアのなかでももっともニュートラルな位置にいる理想的なメディアに近い存在だと思いますが、今回の件はその系列の放送局にあるまじきボーンヘッドだと思います。読売新聞系列のよみうり放送や産経新聞系列の関西テレビでさえ、こんな偏った企画には待ったがかかると思います。

大阪のローカルだし、維新は支持者が絶大だし、視聴率が取れるし、3人のギャラは法外に安いし、ということで安易に維新の代表たちを起用するのだと思いますが、その浅ましい考えはいったん捨て去って、一から番組作りを考え直した方がいいでしょう。

少し前まで長年続いていたMBSの「ちちんぷいぷい」という月-金の昼間の4時間におよぶ帯番組は、関西人ならだれでもおなじみの公平性の保たれた楽しい良識ある番組でしたが、自民党や維新の会に批判的なMCや製作スタッフやパネリストが少しずつ交代させられたようで、いつの間にか番組自体も消えてしまいました。

そのころから、報道スタッフに代わってバラエティ担当者が幅を利かした番組作りをしてきたようで、その結果が、今回のような「不祥事」に立ち至ったのでないでしょうか。

放送局と広告代理店とスポンサーと視聴者がみな自民党や維新の会のパワーを頼りにしてそれを欲していることはとても理解できますが、そのことがとりもなおさず、たとえば当該の党の政治家たちのおごりから来る不祥事などに繋がっている気もします。

人気を維持するために極端に右寄りの吉本芸人が少なくないようですが(芸で勝負せ~よ)、芸人は人気が下がればテレビから消えていきますが、政治に携わる人間は、メディアのチェックが甘かったりそのチェックの基準があいまいだといつまでも存在し続けますし、その影響力ははかり知れないものです。

無能な政府や宰相が続いた影響で「失われた30年」となって枯木のようになってしまった日本や、武力で他国を侵略するような怪物を創り出すことになってしまったいまのロシアがそのことを表象しているのではないでしょうか。

ということで、曲りなりにも毎日放送は襟を正しました。今後は、他の大阪のダメ放送局(NHK大阪朝日放送関西テレビよみうりテレビ)の公正な番組作りの模範となっていただきたいものであります。