遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

茨木のり子「自分の感受性くらい」

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ツイッターで知ったNHKのWEB特集。

www3.nhk.or.jp

 

その特集で知った、まっすぐに心に届く 茨木のり子のことばとして紹介された一編の詩。

 

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難かしくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

茨木のり子「自分の感受性くらい」

 

この「自分の感受性くらい」という詩に初めて触れました。
茨木のり子という詩人のことも、きょうまで名前以外は知りませんでした。

ぴしゃりと胸を打たれました。