米国の体操界で20年以上にわたって、女子選手に性的暴行を繰り返してきたラリー・ナサール医師。
私は「あるアスリートの告発」(2020年公開 / 全1話 / 全104分)というNetflixのドキュメンタリー映画でそのことを詳しく知りました。
映画では、暴行を受けた選手たちの告白があり、ナサール被告の実際の裁判の映像も明らかにされ、被害を受けた選手たちが次々と裁判で証言をしました。
ナサール被告(58)は、検察の求刑通り禁固175年の実刑判決を受け現在服役中です。
この件で、米国体操連盟と米国オリンピック・パラリンピック委員会はこのほど被害者に対して総額3億8000万ドル(約431億円)を支払うことで和解したと12月14日に米国のメディア各社は配信しました。
またこの和解に先立ち、ナサール受刑者の元勤務先であるミシガン州立大学は、2018年に5億ドル(約567億円)を支払うことで合意しており、和解金の総額は8億8000万ドル(約998億円)に上ることになったそうです。
今年の東京オリンピックでも、賄賂問題やセクハラ発言で五輪組織委員会やIOCやJOCは批判され、幹部の交代を余儀なくされました。
今に始まったことではありませんが、日本のスポーツ界では、性的暴行や暴力制裁やパワハラなど不祥事が絶えません。
勝つことが目的のすべてで、そのために手段を択ばないのが日本のスポーツ界で、帝国陸軍や海軍の精神がいまだにスポーツ界に根強く残っていると言っても過言ではありません。
また、それ以上にひどいのが、性的暴行事件や金銭に絡む権力闘争のような争いごとです。
今回の日大の理事長逮捕も、アマチュア相撲界の闇のようなものが垣間見えています。日大では、数年前に大学の上層部が関与していたアメリカンフットボールでの不祥事もありました。
アマチュアやプロを問わず、日本の歴代の男女の選手・アスリートたちが受けてきた暴力や暴行や屈辱やシゴキやさまざまさハラスメントの被害を金銭で表すと、米国の女子体操選手たちに支払われた約1000億円と同等くらいではないでしょうか。いや過去からの日本全体での選手の人数の多さからいうと、3兆円くらいかもしれません。
イチローや大谷翔平が指導者によって潰されることなく、MLBで大活躍できる選手にまで成長できたことは、別の意味でも奇跡的なことだと言えましょう。
ついでに言えば、教育の現場でも教員・教授によるセクハラが随分表ざたになってきました。これは、いままで我慢して泣き寝入りしてきた生徒や学生たちが声を上げ出したからで、実は昔から続いていた出来事だと想像に難くないところです。加害者は、厳しく裁かれるべきです。
パワハラやセクハラの被害を受けたと思えば、すぐ家族や友達に相談するとか、関係者の名前は出さないでSNSでその事実を明らかにするべきです。
「それは訴訟の対象だ」「それは犯罪だ」ということになれば、弁護士に相談することをおすすめします。そうでないと被害者は増え続けることにもなるのです。
ということで、さまざまなスポーツやオリンピックのありようについていろいろ思い切って整理する必要がありそうな気がする東京五輪があった年の暮れであります。