眞鍋淑郎(90)さんがノーベル物理学賞を受賞されました。
ノーベル物理学賞の受賞者は、日本人受賞者第一号の湯川秀樹博士をはじめ多くを数えるが、その業績については門外漢である私には難しくてよく分からない事ばかり。
しかし、眞鍋さんの受賞理由は「気候の物理的モデリング、気候変動の定量化、地球温暖化の確実な予測」に関する業績が認められたとするもので、私にも少しは身近な問題で親近感がわきます。
気象分野の研究者がノーベル賞を受賞するのは今回同時受賞した3人がはじめてだったようで、いま最も重要な人類の課題についての業績が認められたのだと思いました。
眞鍋さんは1950年に渡米して、コンピューターによる気候のシミュレーションを始められたようですが、戦後間もない当時の日本ではとても手が届かない分野での研究だったと容易に想像できます。
その後日本も豊かになって、国内の大学や研究機関も充実していましたが、21世紀になって日本の研究分野は戦後間もない頃の不毛な時代に戻ってしまったようです。
菅政権の最初の不祥事であった日本学術会議の任命拒否問題が、日本政府の教育・文化・芸術・学術・研究に対する身勝手な姿勢の集大成でした。
研究にはヒト・モノ・カネがある程度は必要であって、いまのような予算や考え方では優秀な研究者は今後さらに中国に逃げてしまうでしょう。
誰もが知るノーベル賞受賞者の山中伸弥教授は、研究費を一般から募集している状況なことをどれだけの人が認識しているでしょうか。人類の未来と発展にかかわる医療の最先端の研究所ですら、お金が回ってこないのです。
何の役にも立たなかった「アベノマスク」の経費や、GoToキャンペンで中抜きされた費用で、日本学術会議の年間予算(10億円)が何十年分賄えたのか、それらの費用で国産のコロナワクチンの誕生に寄与できたのではなかろうかと思うと憤りを禁じ得ません。
今回のノーベル賞受賞者の眞鍋さんは、今海外に渡っている研究者の事情とは違う時代背景で渡米されてアメリカ国籍を取得されているのですが、今後さまざまな分野の頭脳の海外流出を防ぐことは、「足腰が弱ってきた日本」の再興を考えていくことのよすがになることでしょう。
加えて、眞鍋淑郎氏の業績をたどることによって、地球温暖化について国を挙げて取り組むべき時が来たといえましょう。そういった意味でも、まことに意味のある受賞であったと思います、お祝いを申し上げたいと思います。