アフガンから米国が撤退した。
米軍が撤退して、またたく間にタリバンが再びアフガン全土を制圧することになった。
カブール国際空港には、タリバンから逃れて国外脱出を求めた市民が殺到したようで、空港を飛び立つ飛行機にしがみつく人たちのショッキングな映像がニュースに流れていた。
この光景は、ベトナム戦争のサイゴンの陥落(1975年)とよく似ている。サイゴン市民は北ベトナム軍から逃れて米軍の飛行機に群がった。
飛びたつ飛行機にしがみつくサイゴン市民の顔面を、米軍の兵士や政府職員が素手で殴打し滑走路に排除する衝撃的な映像をいまだにはっきり覚えている。
私はただただベトナム戦争が終結して喜んでいたのだったが、あの時、ベトナムが今のような平和な国に生まれ変わるとは想像できなかった。
滑走路にたたきつけられた人たちは、その後豊かになったのだろうか。いま彼らが、あの飛行機に乗れなくてもよかったのだと思っていたら、それはそれでいいことなのであった。
タリバンに制圧されたアフガンは、これから平和になっていくとはどうにも思えないのだが、国境を接する中国が間髪を入れず声明を発した。
中国外務省高官の表情は例によって柔和で、彼女のタリバン政権を半ば承認している旨の表明に何だか不思議と安心する。
力任せの制圧に事実上失敗した米国に代わって、こんどは中国がタリバンを遠隔操作できるのか注目に値する。
私たちの生活用品は、中国製のみならずベトナムなど東南アジア製のものが増えてきて久しい。いつか、メイド・イン・アフガンの製品が入ってくることになるかもしれない予感もあり、アフガンに平和が訪れることを切に願う。
それにしても、この件でも中国のパワーを見せつけられた気がして複雑な思いになる。パワーだけでなく、マネーもテクニックも潤沢な大国になってきたことを改めて見せつけられていて、落ちぶれた日本が「再興」するのにこの大国が無関係でないことを再認識する。
日本は、広い太平洋(対岸に遠く米国が存在)を見るだけでなく、近くの東シナ海や日本海側(中国、韓国など)を重要視して上手な付き合い方をして豊かな国になるべきだと思う、今日この頃である。