遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

五輪を中止しないのは「中抜き企業とIOCの利権が国民の命より重いから」

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久々に行われた党首討論は、何だか時間の無駄のようにも見えましたが、立憲の枝野代表の最後の言葉に安堵しました。

枝野代表は討論の最後に「日本は戦後最大の危機にある。菅首相に危機感や責任感を感じられず残念だ」と述べ、政権交代が必要だ」との考えを明確に示しました。

菅首相に討論能力がないので、言葉でのやり取りができない討論だったのですが、「政権交代が必要だ」と最後に言ったことが「あなたに政権担当能力はありませんよ」という意思表明でした。それが多くの国民に伝わったので安堵しました。志位委員長と選挙協力して政権交代の足掛かりを作ってくれた党首討論でした。

菅首相は、枝野代表との討論の後半部分で1964年の東京オリンピックの思い出を来月からの東京五輪の開催意義を結び付けて「57年前の東京五輪の時、私は高校生だったが、『東洋の魔女』の回転レシーブ、マラソンアベベ選手、敗者に敬意を払ったオランダ柔道のへーシング選手など今も鮮明に覚えている。こうしたことを子どもたちにも見てほしい」と長々と国民に呼びかけていました。

1964年当時小学生だった私は、その思い出話だったら2時間くらい話せるし、あんなに五輪に有頂天になったこともないのですが、「有事」の今はそういうことは封印しなければならないでしょう。枝野代表の「2年ぶりの党首討論。後半はここにはふさわしくない話だった」と返した言葉は的を射たものでした。

ところで、昨日のTBSニュースだったかで、2022年の冬季オリンピックの招致を断念したノルウェーオスロ市のエピソードがまさにIOCの劣化ぶりを物語っていました。

2014年のニューズウィークのウェブ記事にそのことがありましたので紹介します。

 大会中のIOCの要求は以下のとおりで、加えて国民の怒りをもっとも買ったのが「国王に接見させろ」という要求だったとオスロ市の担当者は語っていました。オスロ袖の下が不十分だったのでそういう要求をされたのかもしれませんね。

■公道に委員専用車線を設ける。
■各委員のホテルの部屋に組織委員長とホテル支配人の挨拶状と、季節の果物と菓子を届ける(2月のオスロで季節の果物を見つけるのは至難の業だが)。
■ホテルのバーは営業時間を夜遅くまで延長。ミニバーにはコカ・コーラ社の飲料を置く。
■空港でIOC会長の歓迎レセプションを行う。空港には委員専用の出入り口を設ける。
■開閉会式には各種アルコールを準備し、競技期間中は会場のラウンジにワインとビールを。
■委員のホテル出迎えは笑顔で。
■会議室の温度は常時20度に。
■会場のラウンジに温かい食事を用意し、メニューは定期的に入れ替える。

ということで、五輪を中止しないのは、「中抜き企業とIOCの利権が国民の命と健康より重いから」と結論付けられます。それらの片棒を担ぐ日本政府への怒りがますますこみ上げてきます。