遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

国際女性デーにスペインの女性市会議員の勇気ある訴訟ドキュメンタリーを見ました

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3月8日は「国際女性デー」

「10.21 国際反戦デー」は遺伝子に組み込まれて覚えているのだが、私のなかで国際女性デーはネットに繋がっているので毎年思い出される程度の認知度なのだ(反省)。

偶然にだがその国際女性デーにNETFLIX「ネベンカ・フェルナンデス 沈黙を破いて」を見た。
《スペインの裁判史上初めて、政治家に対するセクハラ訴訟で勝訴を勝ち取ったネベンカ・フェルナンデス。20年の沈黙を破り、当時の体験を自らの言葉で振り返る。》

この裁判は、2000~2001年頃のスペインが舞台で、まだ「セクハラ」や「パワハラ」という言葉が一般的ではなかった時代の、若い女性市会議員VS市長のドキュメンタリーだった。40分くらいの3つのエピソードを一気に見た。

市長と同じ党派に属するにもかかわらず、26歳で市会議員を辞職しなければならないことになったネベンカが、裁判闘争を振り返るという形をとって19年の沈黙を破ってカメラの前に立った。

若くて有能な女性が、図らずも政治の世界に身を寄せた結果は、市長や国民党という男社会のペット的存在に過ぎなかったのではないだろうか。当時の市長の行動が彼女の証言や記録映像でつまびらかになる。

男社会のペットとしての女性議員。これはいまの日本でも、同じ構図で継承されているのではないだろうか。

今のスペインで女性たちの立場はどうなのかは、このドキュメンタリーを見るだけではわからず、テーマの掘り下げ方はちょっと舌足らずだと思う。

しかし、当時ネベンカの周囲にいたジャーナリストや弁護士や精神科医、そしてネベンカが助けを求めた野党の社会労働党の女性市会議員もカメラの前で真摯に証言してくれる。

スペイン中を騒がせたという20年前のネベンカの、身心ともに傷つきながらも起こした勇気ある訴訟が、その後の#MeToo運動の先駆けにもなったことは言うまでもないことなのだった。

国際女性デーでなくとも、多くの女性に見てほしい、そして多くの男が見るべきドキュメンタリーだった。