遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

「貧困・低賃金・重労働」が原因で手を出す「砂糖の山」

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食品に含まれる砂糖の山

NHK-BSの火野正平の「こころ旅」で秋の旅を見て楽しんでいます。火野正平の食事シーン、突然訪れる地元の飲食店の対応や旅のクルーの食事シーンが楽しいのですが、正平氏の食事前の喫煙とコーラを飲んでいるシーンでかつての自分を思い出します。

私が50代になってやめたのが、たばことコーラ。
たばこはとても苦労したもののスパッと吸わなくなりましたし、コーラも冷蔵庫に置かないようにして自然に遠ざかるようにしました。20代から常習的にファストフード店では必ずコーラを選んでいましたし、冷蔵庫にはよくコーラを入れていましたが、砂糖から遠ざかる生活にするために徐々にコーラを飲まなくなりました。

(ここからは2014年に私が書いた記事を修正しての再掲です。)
「sugarstacks」と入力して画像検索しますと、特定の食品とそれに含まれるまさに「砂糖の山」が示されます。上の画像もその画像です。

たとえば、画像左上のコーラ缶(350ミリリットル)には、角砂糖が約10個含まれているということを示しています。かつて好きでコーラをよく飲んでいた私ですが、いまとなってはこれを見るだけでも少し気持ち悪くなってきます。

(2012年)ニューヨークではブルームバーグ市長の発案で、米ニューヨーク市の厚生委員会が、特大サイズの炭酸飲料など糖分の入った飲料の販売規制を決定しました。市民の肥満対策と健康増進を目的に、16オンス(約450ミリリットル)を超す大きさの容器に入った糖分を含む飲料を飲食店などで販売することを禁じています。
市長によると、ニューヨーク市民は58%が太り気味または肥満で、8人に1人が糖尿病にかかっているようです。肥満の市民の医療費に費やす市の予算は、年間推定40億ドルに上るといいます。
しかし、その後(2013年)の飲料メーカーなどの訴えが認められて、ニューヨーク州最高裁判所が、飲料の容器規制を「無効」とする判決を下しました。

16オンス(約450ミリリットル)のコーラの糖分含有量は、角砂糖に換算すると約13個分に相当します。ニューヨークならずとも、それは規制した方がいいでしょうね。450ミリリットルのコーラを注文すれば、冷えているうちに飲み干してしまうだろうし、それが、角砂糖13個分となると、何だか無謀なことに感じてしまいます。

米国の映画館やセブンイレブンでは、700ミリリットルから1リットルを超える巨大な炭酸飲料のカップ(gulp)が売られています。売られているだけでなく、よく飲まれています。角砂糖30個をかじりながら映画を観ようというのです。

ほんの少し角度が変わりますが、「スーパーサイズ・ミー」というドキュメンタリー映画は、モーガン・スパーロック監督自らが、1日に3回、30日間、マクドナルドのファストフードだけを食べ続けたらどうなるかを記録した気持ち悪い作品でした。(いまならYouTuberが作りそうなこの映画を私は観てしまいました。)

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スパーロック監督は当時33歳、身長188センチメートル、体重84キロの健康体でした。しかし映画撮影が終わった30日後、彼の体重は11キロ増え、体脂肪率は18%になり、体格指数(bmi)も27(アメリカ基準では「標準以上」)、躁うつ、性欲減退、かなり深刻な肝臓の炎症を起こしました。驚くのは、この体脂肪率18%でも、米国人男性の22%を下回っていることです。

わずか30日のファストフード生活で、こういう事態になってしまいましが、撮影後減量を余儀なくされた監督でしたが、元の体重に戻るのになんと1年2か月もかかったといいます。

欧米の富裕層の人たちの体格が立派なのは、もう昔の話。今は貧困層が肥満体になっています。実に安価にファストフードで空腹を紛らわせることができると知るや、比較的高価な野菜やフルーツや魚などには見向きもしないで、ハンバーガーを食べることになるのです。それを続けると、短い期間でスパーロック監督のようになってしまうのです。

今や貧困大国の日本も例外ではないでしょう。政治家や財界人がスレンダーなのは、いいものをバランスよく食べているからでしょう。

それにしても砂糖の山を見ていると、人の健康を犠牲にして企業の利益は成り立っているのだろうかと思ってしまいます。社会的責任とは真逆の製品づくりです。

そしてそれよりも大きくて重い問題は、「貧困」と無縁ではない「不健康」な方向に美しい国日本丸の舳先は向いていることであります。いくら食品の消費税に軽減税率を導入しても、おおもとの賃金が上がらないのだから不健康から抜け出せないのです。

貧困や余裕のない生活が不健康を生み出し、ひいては国や家庭の医療費を圧迫させるのであります。