遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

アマデウス/ミロス・フォアマン

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アマデウス 1984年製作
 
 ■監督 ミロス・フォアマン
 ■音楽 ネビル・マリナー
 ■出演 F・マーリー・エイブラハム/トム・ハルス/エリザベス・ベリッジ

 ★アカデミー作品賞、監督賞、主演男優賞(F・M・エイブラハム)、
 脚色賞、美術監督賞、音響賞、衣装デザイン賞、メイクアップ賞
 ★ゴールデングローブ作品賞、監督賞、脚本賞


20年前、この映画「アマデウス」を劇場公開で観た私は、

不覚にも居眠りしてしまい、訳が分からず映画館を出てきた。

こんな罰当たりなことはまずしないのだが、よほど疲れていたのか、眠かったのだろう。


その後、ある年の正月、TVで観た。


作品が面白くなかったから、居眠りしたのではなかったことを、このとき確認した。


宮廷作曲家アントニオ・サリエリが、

ヴォルフガング・アマデウスモーツァルトの一生を語るという映画である。



サリエリから見たら、小僧のようなモーツァルト

しかしこの小僧が、とんでもない天才児。


苦しんでのたうちまわって曲を作るサリエリに対して、

サラサラサラと、次から次へと名曲を生み出すモーツァルト


その若き才能、傍若無人な態度に、嫉妬し怒り狂うサリエリ

分かる分かるその気持ち。


王室御用達作曲家にまで昇りつめた、その努力と才能は、

万人が認めるものなのに、

ツーリストのような顔でやってきた小僧が、類まれな音を創り出すのだから、

サリエリが、ジリジリと嫉妬するのも無理はない。



この映画は、よく人間が描けている。

サリエリモーツァルトをとりまく人間達が、

色とりどりの個性を見せてくれる。


色とりどりのセットやコスチュームや、ヘアピース(かつら)にも、

すごい製作費がかかっていそうである。



当然、劇中いたるところで、モーツァルトの音楽が流れる。

時系列で並べると、以下のごときラインナップとなる。


交響曲第25番ト短調より第1楽章と交響曲第29番 イ長調 第1楽章
●「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」より第1楽章
●「スターバト・マーテル」より<肉体が死に滅びる時>これはペルゴレージの作曲
●「フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K299より 第2楽章」
●オペラ「後宮からの逃走」より「トルコ近衛兵の合唱」「私は皇帝になりたいな」「フィナーレ」
●「ハ短調ミサ曲K.427“キリエ”」
●「ピアノ協奏曲第22番 変ホ長調 K482より 第3楽章」
●「フィガロの結婚」 K492より 第3幕“ああ、花嫁の行列だ”第4幕“ああ、これで一同みな満足”
●「ドン・ジョヴァンニ」 K527より 第2幕“騎士長の場”
●ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K466より 第1楽章
●「魔笛」 K620より “序曲”アリア“夜の女王”
●「レクイエム」ニ短調 K626より イントロイトゥス/ディエス・イレ/レックス・トレメンデ/コンフターティス/ラクリモサ
●ピアノ協奏曲第20番ニ短調より第2楽章


ま、妬まれても疎まれても、仕方のない作品群である。


この音楽が、最も高価な小道具であろう。

DVDで、じっくり楽しまれたい。


キネマ旬報「オールタイムベスト・ベスト100」外国映画編(1999年調査)
第19位


この映画の採点=☆☆☆☆★
双葉十三郎のぼくの採点表より ☆=20点 ★=5点 但し☆☆☆☆★★以上はない)

私の採点=☆☆☆☆★