遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

交響詩ツァラトゥストラはこう語った/リヒャルト・シュトラウス

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リヒャルト・シュトラウス交響詩ツァラトゥストラはこう語った―作品30
Ongaku no tomo miniature scores
価格: ¥1,470 (税込)

これは、ミニチュア・スコアである。

今は「…はこう語った」というらしい。

まえは、「ツァラトゥストラかく語りき」だったのに。

こちらの方が、ご利益ありそうな響きなのに。



学生の私が初めて買ったクラシック・レコードは、イ・ムジチの演奏する、

ビバルディの「四季」であった。

ソロは、フェリックス・アーヨ。

当時はアーヨがソロをとった、このイ・ムジチ盤が、名盤中の名盤であった。

今でも名演奏だと思う。



で、そのレコードに、「四季」の全スコアが付いていた。

このスコアがすこぶる楽しかった。

室内楽のスコアだから、パートは多くないし、主旋律は分かり易いし、

音符を追えるのである。


「譜面を読める」というのとは全然違うが、でも音楽と一緒に五線の道を散歩できるのである。


そこから遡ること、数年前に布石があった。

高校の音楽の授業で、シューベルトの「未完成」のスコアを追いかけながら、

音楽鑑賞をやったことがあった。


その時も、先生の指導で、何とか追いかけることができ、ちょっと感動したのであった。


で、「未完成」のさわりと、「四季」全曲の譜面を征服したつもりの私は、

社会人になって、音楽之友社から出ている文庫本サイズの、ミニチュアスコアを購入。

当時、カバーの色は柿色のものであった。



聞き込んだ曲の楽譜をということで、ブラームス交響曲「1番」のスコアを購入。


ところが、レコードと一緒に聞いてもまったくついていけなかった。

パートが多いページもあれば、極端に少ない箇所もあるし、テンポと音符の進み具合が

よく解らない。

だいいち、リピート、ダ・カーポ、ダルセーニョ、コーダなどの記号が出てくると、

どこへ飛んでいくのか解らなくなる。

予習をしないと、本番でぐちゃぐちゃになる。


「五線の道を散歩」などという優雅なものとは程遠い経験であった。


レコードは巻き戻しが出来ないので、すぐギブアップ。

次の楽章まで待つか、初めからやり直しとなるのである。

何回かこういうことを繰り返していると、何とか追いかけられるようになり、

次のスコアを購入。


「第9」や「幻想」や「新世界」などと、協奏曲などの、

「お馴染」をその後何冊か買って、

こういう聞き方はいつのまにか止めた。

一曲マスターするのに、大変な時間を費やすので止めた。



スコアリーディング―スコアを読む手引 Zen‐on score
諸井 三郎, 全音出版部 (編さん)
価格: ¥578 (税込)


いまでは、こういう優れたガイダンスが出来ている。

とりあえず、これを買って、老後の準備をしておくことにする。