遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

クッキン/マイルス・デイビス

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パーソネル
マイルス・デイビス(tp) 
ジョン・コルトレーン(ts) 
レッド・ガーランド(p) 
ポール・チェンバース(b) 
フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) 

1956年10月26日録音。

1.マイ・ファニー・ヴァレンタイン
2.ブルース・バイ・ファイヴ (フォールス・スタート)
3.ブルース・バイ・ファイヴ
4.エアジン
5.チューン・アップ ~ ホエン・ライツ・アー・ロウ


「リラクシン」と同日録音、当然に同一メンバーのアルバムである。


2番目は、数秒で、マイルスの待ったがかかるフォールス・スタート。

NGも歴史に刻むおおらかさが、イイ。


ルイ・アームストロングは、トランペットも歌も、天下一品だったけど、

マイルスは、歌は下手だったかもしれない。

彼の声が悪いからそう思うのではなく、

小さい頃から歌わなかったから、上手くならなかったような気がする。

バスケも野球も、下手だったと思う。

勘だけど、ふと思った。



マイルスのミュート(ラッパ部分に弱音器をつけた)演奏は、

素晴らしく美しいバラードを聴かせてくれる。


しかし、ミュートをかけない、アップテンポの曲もあり、

ハードバップ」のお手本のような演奏を、5人が繰り広げる。


4番目と5番目の曲がそれで、リズムセクションの3人が、

ヴィヴィッドに、リズムを刻む。

この3人は、何度言ってもいいと思うが、

「ほんとに見事である」。


その3人の築いたやぐらの上で、

マイルスとトレーンが、歌い、踊る、とび跳ねる。



「クッキン」は、これがジャズだというお手本である。

万人が、これはジャズだ、と理解できる奏法で、

21世紀の若手ジャズマンも、こんなノリで今またスウィングしている。

いまだに人気の衰えない演奏スタイルである。


お気楽さはなく、研ぎ澄まされた緊張感のある1枚である。


オリジナル・クインテットのアルバムの中で、

わが国で1番人気があるのがこれ。

むべなるかな。



スイングジャーナル読者が選ぶジャズ名盤ベスト100
第13位