遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

演奏と楽譜を愉しむ「未完成交響曲」

生まれて初めてクラシックのコンサートに行ったのが、社会人になって先輩に誘われてのこと。プログラムは、メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲と、ベルリオーズの「幻想交響曲」。それ以降は、ひとりで演奏会に行くことも何度か。 

そこからさかのぼること5.6年。高校の音楽の教師が、オーケストラの楽譜を読みながら名曲鑑賞の時間を作ってくれたことがあった。その授業が何回あったのかはよく憶えていないが、シューベルトの「未完成交響曲」の曲を聴きながらスコアを追いかけた。とても良い時間を作ってくれた先生だった。

その後、大学生になって初めて買ったクラシックレコードが、定番のイムジチが演奏するヴィヴァルディの「四季」。このレコードにはスコアが付けられていて、私は何回も繰り返しスコアを追いかけながら「四季」を聴いていた。

社会人になって、ポピュラーなクラシックレコードを買い、文庫本サイズのスコアも数冊買って、時々音楽と楽譜を同時に愉しんでいた。レコード→録音テープ→家庭用ビデオと音源が移行し、スコアを追いかけられなくなったときに容易に巻き戻せるようになり、演奏と楽譜の追いかけがより愉しめるようになった。

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ところで、今日発見したのがYouTubeでクラシック演奏と楽譜を愉しめる動画。演奏に合わせて、スコアを1頁ずつ表示してくれるのである。これは、すらすらとスコアが読めて、読むのがおぼつかなくてもすぐページが切り替わってすぐ当該の演奏箇所に戻れるのでありがたい。アップしてくれたお方は、演奏時間に合わせて、スコアの頁表示の同期をとってくれていて、なんとも素晴らしい作品に仕上げてくれている。その労力に感謝するほかない。


さっそく高校生の時に楽しんだシューベルトの未完成を愉しんで、

同じくシューベルトの最後の交響曲「ザ・グレート」も全曲鑑賞した。

主にバイオリンやフルートやオーボエの主旋律を追いながら、他の伴奏パートを目の端に意識しながら楽譜を通してオーケストラの演奏を感受していくと、アー素晴らしいと感動し至福の時を迎える。
シューベルトは31歳で夭折したが、彼をはじめ偉大なる作曲家の芸術は人類が絶えるまで営々と生き永らえるのだと確信できるのである。