かまやつひろしは、スパイダースに入る以前から顔と名前は知っていた。彼は、流行歌歌手とは違う、子どもだった私にはよく分からない大人の歌手だった。
私が小学6年生の時にGS(グループ・サウンズ)としてデビューしたスパイダース。そのバンドに入ってからのかまやつは、バンドを支える音楽のことや大人の作法がよく分かったお兄さんという存在であった。
中学生の頃には、私は彼のことを才能あるミュージシャンだと分かっていたと思う。
いま聴いても、スパイダースはおしゃれでかっこいいバンドだと思うが、かまやつがいたからその思いは増幅したのだと思っている。もちろん、堺正章をはじめとするメンバー個々の才能や、不自然でない洒脱さも特筆すべきものだった。
↑「どうにかなるさ」 かまやつひろし
ソロ歌手としての彼も、ロックとカントリーウェスタンとフォークなどがクロスオーバーした音楽性を個性としていた。時には「ムッシュ」と呼ばれるように、ゴロワーズのようなフランスの香りが彼の音楽には漂っていた。
いずれにせよ、特異な才能のあるミュージシャンだったことに間違いはない。
謹んでご冥福をお祈りします。合掌