遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

必読!シールズが選ぶ15冊!

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SEALDsの諸君は立派です。今の日本を何とかしなければと、口先だけでなく態度で示してくれています。選挙までに様々な行動が予定されていると思いますが、世の老若男女はぜひSEALDsに連帯してほしいと思います。(私は「老・男」なんですが、少なくとも意識だけは連帯。口先だけ!)

さて、遅きに失するかもしれませんが、選挙には間に合いますので、SEALDsが「必読!」ぜひ読んでいただきたいと選んでくれた名著15冊をご紹介します。
各書の著者は、私がツイッターでフォロしている人が多くて親近感が湧く15冊ですが、まったくその存在を知らない書籍もあって、バランスよく選ばれているのだろうと思われます。

新書か文庫を買い求めて、1冊でも選挙までにお読みになったらいかがだろうと思います。

【必読!】シールズが選ぶ15冊!
 1 高橋源一郎 「ぼくらの民主主義なんだぜ」
 2 西谷修 「夜の鼓動にふれる―戦争論講義」
 3 樋口陽一山口二郎(編) 「安倍流改憲にNOを!」
 4 佐々木中「切りとれ、あの祈る手を ― <本>と<革命>をめぐる五つの夜話」
 5 小熊英二 「社会を変えるには」
 6 加藤陽子 「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」
 8 丸山眞男(著)・杉田敦(編) 「丸山眞男セレクション」
 9 芦部信喜高橋和之 「憲法 第六版」
10 豊下楢彦・古関彰一 「集団的自衛権と安全保障」
11 海渡雄一・清水勉・田島泰彦(編)「秘密保護法 何が問題か ― 検証と批判主義」
12 中野晃一 「右傾化する日本政治」
13 苅部直宇野重規・中本義彦(編) 「政治学をつかむ」
14 栗原彬 「「存在の現れ」の政治 ― 水俣病という思想」

(以下、SEALDsのリーフレットからテキストを起こしました。ブックレビュー付きです、ご参考まで。)

 これは、私たちSEALDsのメンバーが影響を受けた本をまとめたブックリストです。SEALDs(Students Emergency Action for LiberalDemocracy -s/自由と民主主義のための学生緊急行動)とは、自由で民主的な日本を守るための、学生による緊急アクションです。担い手は10代から20代前半の若い世代です。
 このブックリストにまとめられている15冊は、今、この国で起きていることを理解するために、私たちが最も参考にしている本です。現在の政治情勢は確実に悪化しています。立憲主義が蔑ろにされ、平和主義の理念が危機に瀕しています。また、貧困問題や雇用問題など、経済面でも多くの課題を抱えています。こうした現状に、この国の自由と民主主義を担う一人の個人としてどう向き合うか。私たちがあげた15冊は、そうした問いに真正面から答えるものであると確信しています。

高橋源一郎 「ぼくらの民主主義なんだぜ」
よくもわるくも、この社会を少しでもマシなものにするにはどうしたらいいのか? と考えたりするようになったのは2011 年3 月11 日のあのときからだった。それまではまあ、適当に楽しく、という感じ。この本は2011 年の4 月から2015 年3 月まで「論壇時評」に掲載されたものだから、ここ数年の「路上の記憶」とがっちりリンクしてる。だから今、お前が自分の言葉を持って路上にいるのは間違ってないぜって言われてる気がして、勇気づけられる。(KBTK)
 
西谷修 「夜の鼓動にふれる―戦争論講義」
そもそも「戦争」とは何なのか。今この国に生きる私たちが考えなくてはならないその主題を、本当に考えるための一冊。戦争をテーマに、様々な思想家が考え残してきた言葉がどのような状況から生まれてきたのかわかってくる。すると哲学や歴史、思想が決して抽象的な言葉の綾なのではなく、生きることに直結していることに気づかせられる。 戦争・政治・思想... 今もし何となくもやもやしていて、とにかく何かを考えることが必要だと思うけど、どこから始めたらいいかわからないという人はこの本から始めることを勧めたい。( 神宮司 博基)

樋口陽一山口二郎(編) 「安倍流改憲にNOを!」
しかしまあ名だたる学者たちに名指しで「NO」と言われた首相などこれまでにいたのだろうか? などと流暢に構えてはいられない。それほどに状況は差し迫っている。本書は憲法や安全保障、財政など多様な観点から「安倍流」の問題点を検証する論考から成っているため、関心に応じて、認識の欠けている部分を補強するなど、トピックを選択して勉強することができる。わたしたちの「声」と、学者による「知」の回路はここに開かれた。 (KBTK)

佐々木中「切りとれ、あの祈る手を ― <本>と<革命>をめぐる五つの夜話」
 「民主主義は終わった。」──およそ今から2 年前、特定秘密保護法案が国会で成立した瞬間に多くの人が口にした言葉だった。この日は、僕たちの「始まりの日」 になった。そして、この本に出会った。こんな一行があった。『─何も終わらない、何も。』 ─今まで何度、この文章に救われたことだろう、そう思わざるを得ない。僕たちはこれから先もずっとずっと、その日、その瞬間のことを忘れないだろう。だって見ろよ、何も終わっていないじゃないか。最も多くSEALDs メンバーが愛読し、影響された一冊である。( 佐藤大)

小熊英二 「社会を変えるには」
 「社会を変える」とはどういうことなのか。この本は、社会運動の歴史や古代ギリシャ思想など、様々な切り口からその問いに迫っている。 「デモをやっても何も変わらない。」──このようなことを言われる度、私はいつもこの本の存在を思い出す。そして思うのだ。「生きている」という実感、これこそがまつりごとの、そして民主主義の原点だ。個人がこの実感を持ち、それぞれ思考し、行動していくことでこの社会はきっと変わるはずだ、と。(MOEKO)

加藤陽子 「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」
東大歴史学教授である著者が中高校生に向けて行った、日清戦争から太平洋戦争までの日本近代の戦争を巡る講義録。その語り口は柔らかく、とても面白い。しかしその内容は、「歴史」とは何かという、いま再考されなければならない本質を突いている。 あの時「なぜ、戦争が」「それでも」選ばれたのか、という切実な問いに、決して単純な物語ではなく、ここに展開されているような適切な「歴史的」知性から考え続けること。それは私たちが今ふたたび、「戦争」という選択肢を選ばないために不可欠なことだと思える。( 神宮司 博基)

1937 年。盧溝橋事件があり、中日事変となり、以後八年間にわたる日中戦争の始まった年にこの本は出版されたらしい。小学五年生の時にこの本を初めて読んだときはそんな時代背景など幼い私には全く目に入らなかった。今回レヴューを書くにあたって改めて読み直したのだけど、その時代背景を頭に入れて読むとまた見え方が変わってくるように思う。言論統制のさなか、著者は何を少年少女に伝えたかったのか? コペル君とともに考えてみる。(Anju)

丸山眞男(著)・杉田敦(編) 「丸山眞男セレクション」
戦後民主主義」の政治学者・思想家として名高い、丸山眞男の著作のいくつかを収録。抑圧移譲の構造を明らかにし丸山の名を一役有名にした「超国家主義の論理と心理」や、無責任の体系を析出する「軍国主義者の精神形態」。政治的な思考法を説く「政治的判断」の現代性に驚く人も多いだろう。 戦後70 年を迎え、日本の自由と民主主義が問われている。戦後、荒廃からそれらをリードした丸山の著作は、今だからこそ読み返される必要がある。(SOB)

芦部信喜高橋和之 「憲法 第六版」
 「安保法制」を巡り、憲法についての議論が活発に行われ、日本国憲法、またそこに掲げられている理念、原理が現在、問い直されています。 日本国憲法を基礎から学ぶには、この本をまず読むことを勧めます。憲法の教科書となる一冊です。日本国憲法の条文で述べられている言葉の定義、それらを巡った学説、憲法を巡った裁判における過去の判例がコンパクトに読みやすくまとめられています。日本国憲法の大枠をとらえるには十分すぎるほどの一冊です。( 大野至)

豊下楢彦・古関彰一 「集団的自衛権と安全保障」
SEALDs の国会前抗議やデモではしばしば「集団的自衛権はいらない」というフレーズがでてくる。さて、この集団的自衛権はどのようなものか、理解している人はどれだけいるだろう? 安保法制に反対するうえで、憲法違反である、立憲主義に反する、ということは明白だが、一方で、安全保障論からの理解も重要だ。かなり長期的な闘いになるであろうこの運動を展望するとき、安全保障には軍事力だけではない、ということを理解し広める必要があるだろう。(Anju)

海渡雄一・清水勉・田島泰彦(編) 「秘密保護法 何が問題か ― 検証と批判主義」
 2014 年の末に施行された「特定秘密保護法」は、国民の自由と権利を著しく侵害するものであると、多くの国民、知識人によって批判されてきました。この本は学者、弁護士、ジャーナリストといった様々な立場にある有識者がこの法律について検証、批判を行った論文集です。「知る権利」との関係、安全保障制度との関係、情報管理制度との関係などそれぞれの切り口から論じられています。SEALDs の前身となるSASPL のメンバーも重宝した一冊です。( 大野至)

中野晃一 「右傾化する日本政治」
現在の安倍政権を象徴的に、政治の右傾化はいったいどこからやってきたのだろうか。冷戦の激化とその崩壊。めまぐるしく変化する国際社会に共鳴しながら、行われた国内の覇権争いの果てにたどり着いた現在を考察する。あまりに複雑な問いを丁寧に紐解いた一冊。 右傾化とともに現れた「反自由政治」を構造的に理解することで示したオルタナティヴは、私たちに希望の光を示してくれる。 ( 林田光弘)

苅部直宇野重規・中本義彦(編) 「政治学をつかむ」
 政治学の教科書は幾つもありますが、本書は、そのなかでも最も有名なものの一つです。本書の特徴は、その網羅性もさることながら、たとえばナショナリズムや戦争責任問題など、およそ政治について争点になりがちな問題に触れられていること。日本政治思想史の著者もいるなど、日本の文脈で考える機会が多いのも特徴です。はじめの一歩として、是非。(SOB)

栗原彬 「「存在の現れ」の政治 ― 水俣病という思想」
人間とは何か。生とは何か。近代とは何か。──徹底した水俣病者との触れ合い、水俣病50 年史。戦後日本政治史の裂け目から。 親密な言葉が公的なものになる瞬間。自分の大切な生活や景色、他者、魂を擁護する。あらわす。構造に規定されたその身振り、その言葉にこそ構造を内破する力がある。それが水俣病という思想だった。 そこに存在が現れる。他の誰でもない、固有名詞の他者が面前に。そしてそれに向き合うあなたも、また。(SOB)

本書の中学生たちは、戦後の詰め込み型教育で育った人間の代弁者である。義務教育、そしてそれに連なる高校教育では未来に希望を思い描けるような教育はない。経済の状況も一向に良くならない。迫り来る就職難、年金問題。仮初めの平和…確かにこの国に希望はないのかも知れない。だがそんなつまらない言葉を頭から信じ、自身の人生までも腐らせる必要性はどこにもない、ということを私は本書で教えてもらった。義務教育を受けている小学生、中学生、高校生に読んでほしい一冊である。(中村麻)