中之島コレクションズから
「道化役者と子供」(1905年) パブロ・ピカソ
ピカソの「青の時代」は1904年頃までで、
1907年には、センセーショナルな「アビニヨンの娘たち」を発表し、
この1905年の「道化役者と子供」は、青の時代からキュービズムへの移行期に描かれた作品です。
青の時代のフォルムを残しながら、色彩は温かさを戻してきています。
おとなしい清楚な感じの作風ながら、その存在感たるや他を圧倒していました。
天才が発するオーラとは、このようなことをいうのでしょうか。
以前の展示で、この絵を見た観覧者が「これは本物ですか?」とキュレーターに尋ねたとか。
さりげなく掲げられていて、無理もない疑問だと思います。
この作品は、国立国際美術館の所蔵品ですが、
もし海外オークションに出れば、1億ドル近い値が付くのではないでしょうか。
同時期に描かれた「パイプを持つ少年」は、2004年のサザビーのオークションで、
1億4百万ドルの値を付けましたので、下世話ながらそんなことを思うわけであります。