念願の三岸節子(みぎしせつこ 1905-1999)の作品に、ようやく接することができた。
神戸は東灘区の阪急御影(みかげ)駅に初めて降り立った。最も一般的な石材の花崗岩の通称は「御影石(みかげいし)」と呼ぶが、古く六甲山で産出され当地から全国に出荷された花崗岩にちなんで、一般に御影石と呼ばれるようになった。
三岸のデビュー作もいえる「自画像」(http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/67949116.html)など、一宮市の三岸節子記念美術館所蔵の油彩作品を中心に、スケッチやパレットや装丁本や自筆原稿などすべてで50点ほどの小さな展覧会だった。
小さな展覧会だったが、私にとっては素晴らしい作品群でますます三岸節子ファンになって帰ってきた。
当ブログで見てきた作品を数点、ご紹介しようと思う。
まずは、「花と魚」(1952)。
64年前の比較的大きな作品である。大きいとはキャンバスの大きさのことだが、作風もスケールの大きさを感じさせる。
彼女は94歳まで生きたが、当時47歳だたので、ちょうど人生の折り返し地点の作品だった。この後、三岸は死ぬまでさらに47年間も筆を持った芸術家だったのである。
会場では、きれいな色使いが目を引いた。
澄んだ緑や青や黄色が目に鮮やかである。深く塗り重ねた色もまた見事である。
右の、花と葉と花瓶のフォルムが大胆でお洒落で、配色のバランスが絶妙でうなってしまう。「花の三岸」の面目躍如たる作品である。
同じく左の魚クンと下に敷かれた器のシュールな存在感にも、へへーとひれ伏してしまう。
この時代は、まだ渡欧していない三岸は、誰にどう影響されて自分のスタイルを築いたのかよく知らないが(この作品だけだとマティスに近いような…)、何かにとらわれるでもなく自由にのびのびと書いているような感性が伝わってくる。
かっこいいこと、このうえないのである。(つづく)