郵便配達夫 佐伯祐三 1928年
念願の佐伯裕三の「郵便配達夫」の実物との対面が、ようやく実現できた。
中之島の国際美術館は、金曜日だけ19時まで開館してくれていて、
残業なしで退社すれば、ゆったり楽しめるのである。
あえて「中之島コレクション」情報をインプットしないで出かけたら、
サプライズの連続であった。
巨匠たちの70点と出会うことができた。
会場をのんびり2周してしまった。
佐伯の「郵便配達夫」。
彼は三十歳で夭折してしまったが、この作品は亡くなった年の作品。
エネルギッシュな筆の力は、80年経っても衰えることなく、
日本からパリに渡った若者の作品にとても見えないところが、偉いのである。
高村薫も私も大好きな、まるで戸板のようなマーク・ロスコの作品などなど、
近代アートがたくさん展示されていて、ポスターではなく本物や~とにんまりしながら見入ってしまった。
さて、このようなとても優れた作品を数多く持っている大阪市は、
近代美術館をずっと建設予定なのだが、いまだにそれが実現していない。
時々今回のように、会場を間借りしてコレクションの一部を披露してくれる。
ひょっとすると、新大阪市長誕生で、「近代美術館」の実現は夢と消えるかもしれない。
至宝渦巻く大阪市立東洋陶磁美術館も、彼なら売り飛ばしてしまうかもしれない、
中国なら高い値段で買い取ってくれるだろうなぁ。
今回のコレクションの入場料は420円で、私が入場した時間帯の入場者はほんのわずか。
フランス語を話す感じのいい若いカップルが、私と同じ空間で鑑賞中だったが、
あまりにも閑散としていて、作品がみなレプリカだと思ってはいないだろうかと、不安になった。