遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

郵便配達夫/佐伯祐三

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 郵便配達夫  佐伯祐三  1928年 


国立国際美術館に会社の帰りに立ち寄り、美術展「中之島コレクション」を鑑賞。

念願の佐伯裕三の「郵便配達夫」の実物との対面が、ようやく実現できた。


中之島の国際美術館は、金曜日だけ19時まで開館してくれていて、

残業なしで退社すれば、ゆったり楽しめるのである。


あえて「中之島コレクション」情報をインプットしないで出かけたら、

サプライズの連続であった。


ダリ、キリコ、マグリットジャコメッティ(彫刻)、マン・レイ(写真)、

ロスコ、デュシャン、ウォーホル、キスリング、佐伯祐三奈良美智など、

巨匠たちの70点と出会うことができた。

会場をのんびり2周してしまった。


佐伯の「郵便配達夫」。

彼は三十歳で夭折してしまったが、この作品は亡くなった年の作品。

エネルギッシュな筆の力は、80年経っても衰えることなく、

日本からパリに渡った若者の作品にとても見えないところが、偉いのである。


高村薫も私も大好きな、まるで戸板のようなマーク・ロスコの作品などなど、

近代アートがたくさん展示されていて、ポスターではなく本物や~とにんまりしながら見入ってしまった。


さて、このようなとても優れた作品を数多く持っている大阪市は、

近代美術館をずっと建設予定なのだが、いまだにそれが実現していない。

時々今回のように、会場を間借りしてコレクションの一部を披露してくれる。

ひょっとすると、新大阪市長誕生で、「近代美術館」の実現は夢と消えるかもしれない。

至宝渦巻く大阪市立東洋陶磁美術館も、彼なら売り飛ばしてしまうかもしれない、

中国なら高い値段で買い取ってくれるだろうなぁ。


今回のコレクションの入場料は420円で、私が入場した時間帯の入場者はほんのわずか。

フランス語を話す感じのいい若いカップルが、私と同じ空間で鑑賞中だったが、

あまりにも閑散としていて、作品がみなレプリカだと思ってはいないだろうかと、不安になった。


ともあれ、大阪市の洋の至宝をたっぷり楽しめた週末であった。