寒さが続くなか、仕事のほかにも私は家事雑用も趣味も真面目に取り組んでいる。
庭には恒例の寒肥を施し、
変な伸び方をし続けているオリーブの枝を、セミヌード同然に目いっぱい剪定し、
2月にデビューしたへラブナ釣りも、3回の釣行を数える。
屋外から家に入ると我が家のような安普請でも天国のように暖かく、
留守番の間にCS放送で「愛を読むひと」を鑑賞。
少し気が引けたので一人で鑑賞。
前半はケイト・ウィンスレットと少年デヴィッド・クロスの、
出会いと発展がきれいに描かれていて、
まあこれなら娘と観ていてもいいかなといった感じであった。
デヴィッド・クロスは、役柄の15歳には見えなかったが、
初々しい少年から青年に変身していく課程を好演していた。
「タイタニック」を観ていない希少な私は、
ケイト・ウィンスレットは初めての出会いだと思うが、
つつましい電車の車掌役をよくこなしていて、
これまたアカデミー賞主演女優賞に相応しい好演だった。
この人は、歳を重ねて自然に枯れていけば、ますますいい味が出てくるのではなかろうか。
スクリーンの色調は淡くて美しく、音楽も悲しくささやいて、
舞台はドイツなのだが、香る空気は英国風なのが、セリフが英語だからか。
前半の年齢差のある緊張感のある恋愛劇から転じて、
後半のレイフ・ファインズが出てくるあたりから、
原作はスリリングな展開を見せるのだが、映画はなんだか物足りない。
原作の持ち味を損ねた感覚はないのだが、
ナチの戦争犯罪の裁判の描き方が中途半端だったり、
ケイト・ウィンスレットの老けた演技がいまひとつだったり、
レイフ・ファインズの暗い雰囲気が演技に見えなかったり。
そういった要因が総合的に、物足りなさにつながったのだろう。
それと、原作を読んで時間が経っていないからだろうという結論にも達した。
原作の方は、我が家族にもおすすめかなという気に変わってきた、
ケイト・ウィンスレット演ずるところのハンナの二つの秘密とその生き方について、
話し合っても面白いかと思っている。