遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ストレート・アヘッド/カウント・ベイシー

ストレート・アヘッド   カウント・ベイシーイメージ 1
曲目リスト
1. ベイシー・ストレート・アヘッド   
2. イッツ・オー、ソー・ナイス   
3. ロンリー・ストリート    
4. ファン・タイム   
5. マジック・フリー    
6. スイッチ・イン・タイム    
7. ヘイ・バーナー    
8. ザット・ウォーム・フィーリング    
9. クイーン・ビー    
録音1968年

ジャズのビッグバンドを率いるデューク・エリントン
同じくカウント・ベイシーの両巨匠と、

彼らは、誰が名づけたかニックネームを冠にしている。
デュークは公爵、カウントは伯爵、そしてキング。
そのニックネームにたがわぬ巨匠たちである。

レッド・ガーランド の「グルーヴィー」の記事の際に少し触れたが、
オール・アメリカン・リズム・セクションと呼ばれ、
ジャズのリズムの根幹がこのバンドから派生したといっても、言い過ぎではない。

この1968年録音のアルバム「ストレート・アヘッド」では、
ベイシー楽団が40年代に結成された頃のオリジナルメンバーは、
入れ替わっているものの、リズムセクションの中心人物
ギターのフレディーグリーンは健在だし、
もちろんベイシー自信も健在である。
「5. マジック・フリー」のリズム・セクションのパルスのような、
リズムの刻み方は驚異で、まさにまさにマジックである。
 
ベイシーを聴くたびに、ジャズ評論家の油井正一を思い出す、
ベイシーの実に簡潔なピアノ演奏の特徴を教えてくれたのが、
油井さんだったからだ。
「8. ザット・ウォーム・フィーリング」や、
「9. クイーン・ビー」の上品なピアノ演奏にうっとりする。

また、この楽団の明るい金管楽器のハーモニーと、
リズムセクションの躍動感は、他の追随を許さない。
このアルバムの隅々に、それを立証できるサウンドが詰まっている。

ジャズの入門に何を聴くかは、永遠のテーマだろうが、
日本でもっとも人気のあるビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビイ」より、
ベイシーのこの「ストレート・アヘッド」を私はおすすめする。

これがジャズだと、一聴すれば分ると思う。
ヘッドフォンでなく、スピーカで楽しまれたい。