正月早々、虫歯で弱っていたのか歯が欠けてしまい、
何年ぶりになるのだろうか、
実に久々に死ぬほど嫌いな歯科医に通うはめになる。
麻酔注射を打ち、痛くない治療をしてくれたので、
確かに痛さはまったく感じなかったが、
久々に聞く、歯を削るあの恐怖の音に変わりはなく、
強いストレスを感じたのであった。(臆病すぎ!)
担当の先生はマスク美人で、若かったから、
もう2回くらい通ってもよかったのだが、
幸い2回の通院で、元通りになった。
2回の治療費は、8千円弱。
欠けた部分のレントゲン撮影をして、
麻酔を打って治療をして、型をとって埋め込み金具を作ってもらい、
ついでに歯全体のレントゲンも撮って悪いところのチェックをしてもらい、
歯石もきれいにしてもらったから、3割負担でそんなものかな。
わが社の場合は、支払額のほとんどが健保から還って来るので、
今回の治療は、千円ほどで済んだことになる。
高い保険料を払っているのだから、当然だが、なんだかありがたいことである。
先だって、マイケル・ムーアの「シッコ」という映画の後半部分を見た。
この作品は、総てちゃんと見たいと思っているのだが、
このドキュメンタリーは、アメリカの医療制度を扱った問題作で、
国民皆保険制度のない合衆国の、医療の影の部分を取り上げた秀作である。
事故で指を切断した男性が、
中指をくっつけるなら6万ドル(540万円)、
薬指なら1万2千ドル(108万円)必要だと病院に言われたと、
中指のない手を見せながらにんまりしていたのが印象的だったが、
ブラック・ジョークのような、しかし笑えない話だった。
救急車は民間が運営しており、有償で数万円のコストを覚悟で利用する必要があるようだ。
保険制度が充実している州で、国民皆保険制度が導入されると、
制度が薄まって結果的に制度の改悪になってしまうという特殊事情があったようである。
いずれにせよ、今回の私のような歯の治療をしたら、
アメリカでは一体いくら費用がかかるのだろうかと思う。
幸田文の「おとうと」は大正時代の話であった。
当時、不治の病というべき結核であっても、
富める人たちと貧しい人たちの治療方法はまったく違ったものだったことを、
作品の中で気付かされた。
わが国の国民皆保険制度が完全に整備されるのは、1961年のことであった
毎月、一生懸命働いて、健康保険料を納めさせていただいているが、
おかげさまで保険料の元を取れない程度の健康的な生活ができており、
今後も「保険料が高い!こんなんじゃ元が取れない!」などと、
贅沢な文句を言いながら暮らしていきたいと思うのである。