遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ダークナイト/クリストファー・ノーラン

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ダークナイト
The Dark Knight


公開 2008年7月18日
上映時間 152分


ダークナイト」、暗黒の騎士とは、バットマンのことである。

カタカナのタイトルから、「暗い夜」だと私は思っていた、(恥)。


いつのまにか、バットマンは進化していた、スパイダーマンに近い存在になっていた。

相棒のロビン少年もいないし。

その代わり、オスカー俳優マイケル・ケイン演じる執事がバットマンに仕える。

マイケル・ケイン健在、年齢を調べると75歳、意外に若かった。


この映画は、ヒース・レジャーのものだった。

この映画公開時には、すでに故人であったヒースは、

アカデミー助演男優賞をはじめ、各国の映画賞を総なめにした、

掛け値なしの「総なめ」状態であった。


こんな素晴らしいたおやかな悪役は、そうめったにお目にかかれない。

冷酷非情で、頭脳明晰で戦略家で、運動神経抜群で火器の扱いも一級。

冒頭の銀行ジャックのシーンで、この悪党の虜になってしまう。


「悪いことしましょ」が大好きな私、これぞ映画の醍醐味である。

現実ではない、夢の出来事、映画。


全米の興行成績は、史上2位!!に達したというこの作品、

みなバットマンじゃなくて、ジョーカーを観に行ったんじゃなかろうか。

トゥー・フェイスという、「突然変異」で現れる悪党も登場するが、

ヒースのジョーカーの、引き立て役になったに過ぎない存在感。


ジョーカーの仕掛ける死のゲーム、なんだか考えさせられる。

「極悪非道の船」と「品性高潔の船」が繰りひろげる死のゲームは、

バットマンの関わりもなく、でもジョーカーの望んだとおりに進行しなかった。

彼の仕掛けが空振りに終ったことが、

ストーリーに幅をもたらし、見る者の心をさまざまな形で揺すぶる。

このジョーカーは、終生私の心に棲む悪党になると強く思うのである。


ヒース・レジャーのヒースとは、エミリー・ブロンテの「嵐が丘」の主人公、

ヒース・クリフから命名されたという、これまた感慨深い、

合掌。