遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

愛しき者はすべて去りゆく/デニス・レヘイン

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愛しき者はすべて去りゆく  デニス レヘイン(著) 鎌田 三平 (訳) (角川文庫)




私立探偵パトリックとアンジーのシリーズは、

20世紀末に「スコッチに涙を託して」から始まった。


そして、この21世紀はじめの「愛しき者はすべて去りゆく」は、シリーズ4作目。

いつの間にかパトリックとアンジーの二人は同居して、深い仲になっている。

「スコッチ~」の頃は、同じ探偵としてのパートナーだったはず。


今回の依頼人は、行方不明になった4歳の姪を探してくれという義理の叔母。


頼まれた二人は、くだらない探偵仕事ばかり引き受けながら、

それでも波風立たずに平和に仲良く暮らしていた。

だから、しんどい厄介な仕事はごめんだと、少女の叔母の依頼を固辞していたが、

しぶしぶ少女についてリサーチをしていくうちに、

アンジーの母性が目覚め、パトリックの正義感が顔を出し、

少女奪還に命を賭けることとなる。



地元警察に協力したり抗ったり、

おさな馴染の街のギャングにも協力してもらい、

探偵二人の幅広いネットワークを駆使して、

薬漬けの犯罪の巣窟ボストンでのバトルロイヤルが繰り広げられる。



ハードボイルドお決まりの、

「薬・銃・金」という悪党達の三種の神器が跋扈し、


誰を信じれば前へ進めるのかを探偵二人は模索していくなかで、

人の持つ残酷さに、何度も何度も突き当たって倒れ、


人の持つやさしさに勇気付けられて、

また立ち上がるのである。




パトリック&アンジーシリーズはほかに、

「闇よ、我が手を取りたまえ」 (2作目)

「穢れしものに祝福を」 (3作目)

「雨に祈りを」 (5作目)

が在る(私は未読)。