遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ジェーン・エア/ロバート・スティーブンスン

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監督:ロバート・スティーブンスン
原作:シャーロット・ブロンテ

出演
ジョーン・フォンテーン
オーソン・ウェルズ
マーガレット・オブライアン
アグネス・ムーアヘッド
ペギー・アン・ガーナー
エリザベス・テイラー

アメリカ(1944年製作)


例によって何の予定もないゴールデン・ウィーク、

映画三昧の連休にしようと考えている。


で、さっそく、今日の一作は「ジェーン・エア」(1944年公開)。

シャーロット・ブロンテの小説が原作なのは言うまでもなく、

主演は東京生まれの大女優ジョーン・フォンテーンと、

このときすでに「市民ケーン」を撮っていたオーソン・ウェルズ


原作は妹のを借りて読んだと思うのだが内容の記憶はなく、

ジェーン・エアの少女時代は、原作ではかなり書き込まれているのだろうが、

90分あまりの映画はグングン場面展開し、退屈することなく楽しめた。


ジェーンが幼少の頃預けられた伯母役が、4度もオスカーの助演女優賞候補になった

アグネス・ムーアヘッドで、私は気付かなかったが、

奥様は魔女」のサマンサの母親役だと、うちの奥様は魔女は瞬時で分ったようだ。


それから、ジェーンが孤児院で孤立していたときに仲良くしてくれた美少女が、

子役時代のエリザベス・テーラーで、

彼女の登場した場面では、我ら夫婦は「ああっ」と声が出た。

リズをはじめ、10歳前後の少女役、

ジェーンの子ども時代を演じたペギー・アン・ガーナー、

ジェーンの家庭教師としての教え子役のマーガレット・オブライアン、

彼女たちの麗しく自然な演技も、秀逸であった。


ジョーン・フォンテーンの実姉オリヴィア・デ・ハヴィランド

出演していた「風と共に去りぬ」の主人公スカーレット・オハラ

彼女のような激情型ヒロインではないけれど、

不遇な少女時代から這い上がったジェーン・エアを、

ジョーン・フォンテーンは、オーソン・ウェルズを相手に、

お行儀よく品のある楷書のようなしっかりとした役作りで演じている。


全編、イギリス文学の重厚な雰囲気がよく出ていて、

その重厚さや深さを「暗い」という軽い一言で片付けてしまわない人には、

おすすめの一作である。