遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

魔法のタオル/エレーナ・イシンバエワ

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世界陸上選手権大阪大会で、女子棒高跳びの覇者エレーナ・イシンバエワ


予選では、他の選手がゼイゼイハアハアと4m35cmあたりの高さに挑戦しているのに、

イシンバエワは、持ち込んだマットをフィールドに敷いて、

タオルを顔にすっぽりかけたまま寝転んでリラックス&集中。


バーの高さが、予選通過に必要な4m55cmになるまで、

ひたすら寝転がってリラックス&集中。

予選通過の試技は一度行っただけで、あっさりクリア。

予選の2時間以上をほとんどフィールドで寝て過ごしていた。


私はこのユーモラスな態度に、アハハといっぺんに好きになってしまう。


本日の、決勝でも同じ調子で、4m80cmで一度失敗しただけで、

3度の跳躍であっさり優勝を決めてしまう。


自身の持つ世界記録を上回る5m2cmへの挑戦は失敗に終ったが、

無駄な動き無しで金メダルを奪取。


体つきも見事で、見るからに柔らかいしなやかな筋肉の持ち主で、

無駄なところは一切なし。


無駄な贅肉がない秀でたアスリートに共通するのが、

無駄なところがない精神状態を維持できる力を持っていること。

いろいろ考えずに「心の贅肉」をそぎ落としたアスリートが、

最もいい仕事をするような気がする。


日本勢の不調は、地元開催という重石が、心の負担になっているような気がする。


イシンバエワの顔をすっぽり隠すあのタオルは、

心の負担を取り除く魔法のタオルなのであろう。