1999年9月から11月まで、京都国立近代美術館にて、
「オランジュリー美術館展 ジャン・ヴァルテル&ポール・ギョーム コレクション」
が開催され、私も足を運んだ。
パリはチュイルリー公園の、元はオレンジ専用の温室を改造した美術館、
それがオランジュリー美術館である。
その昔、ポール・ギョームという画商が、いつか美術館を造りたいとコレクションを続け、
しかし、夢の途中で夭逝してしまう。
ポールの妻はその夢を、再婚相手の実業家ジャン・ヴァルテルとともに継続し、
最終的には、その類まれなるコレクションをフランス国家に寄贈した。
その、ジャン・ヴァルテル&ポール・ギョームコレクションの展示場所に選ばれたのが、
オランジュリー美術館であり、1984年からその展示が始まったという。
私は、1996年に現地を訪れ、カルトミュゼを購入して、
ゆっくりたっぷり楽しませてもらった、そしてその3年後には、
これらのコレクションが来日したのであった。
今日の1枚は、アンリ・マティスの、
「赤いキュロットのオダリスク」。
オダリスクとはかつての中近東におけるハレムの女性のことだが、
連作を書いていたようである。
この作品は、一応着衣のオダリスクで、エキゾチックな壁の装飾や小物類が、
中近東の香りを漂わせている。
色数を増やして混沌としているようで、ちっともうるさくない画面は、
隅から隅まで見事な調和が取れている、バランスが良い。
彼の芸術性と技量の高さを証明するに相応しい一枚となっている。