遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

赤いキュロットのオダリスク/アンリ・マティス

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赤いキュロットのオダリスク 1924-25  アンリ・マティス



1999年9月から11月まで、京都国立近代美術館にて、

オランジュリー美術館展 ジャン・ヴァルテル&ポール・ギョーム コレクション」

が開催され、私も足を運んだ。



パリはチュイルリー公園の、元はオレンジ専用の温室を改造した美術館、

それがオランジュリー美術館である。


その昔、ポール・ギョームという画商が、いつか美術館を造りたいとコレクションを続け、

しかし、夢の途中で夭逝してしまう。

ポールの妻はその夢を、再婚相手の実業家ジャン・ヴァルテルとともに継続し、

最終的には、その類まれなるコレクションをフランス国家に寄贈した。


その、ジャン・ヴァルテル&ポール・ギョームコレクションの展示場所に選ばれたのが、

オランジュリー美術館であり、1984年からその展示が始まったという。


私は、1996年に現地を訪れ、カルトミュゼを購入して、

ゆっくりたっぷり楽しませてもらった、そしてその3年後には、

これらのコレクションが来日したのであった。


今日の1枚は、アンリ・マティスの、

「赤いキュロットのオダリスク」。


オダリスクとはかつての中近東におけるハレムの女性のことだが、

マティスはどうやらお気に入りのモデルに半裸のオダリスクの格好をさせて、

連作を書いていたようである。


この作品は、一応着衣のオダリスクで、エキゾチックな壁の装飾や小物類が、

中近東の香りを漂わせている。


マティスファンの私は、こういう華やかなマティス絵画が大好物である、


色数を増やして混沌としているようで、ちっともうるさくない画面は、

隅から隅まで見事な調和が取れている、バランスが良い。

彼の芸術性と技量の高さを証明するに相応しい一枚となっている。