関口知宏は、2004年にはNHKBSの15周年企画、
「列島縦断 鉄道12000キロの旅 ~最長片道切符でゆく42日~」で、
42日かけて北海道の稚内駅から佐賀県の肥前山口駅まで同じ駅を2度通らずに達成した。
この番組はよく見ていたが、
その関口知宏のヨーロッパの鉄道の旅シリーズが、
昨年末から再放送されている。
イギリス、スペイン、トルコ・ギリシャ、スイス、ドイツを鉄道で周遊する旅番組である。
1回の放送時間が110分のゆったりした5回シリーズである。
その昔、「兼高かおる世界の旅」という30年も続いた旅番組があり、
小学生の私には、憧れ、いやそれ以上の月世界のような存在であった世界各地の景色や暮らしを、
安普請の自宅の茶の間で、毎日曜朝に楽めた番組であった。
この正月も、国内外を問わず、○○紀行、○○の旅、のようなTV番組ばかり観ている。
話を戻すと、関口知宏は英語ができる、絵が巧い、楽器もできるし作曲もする。
親が親だけに、何の苦労もなく育ったおぼっちゃんである。
しかし、(だから)、はじめての景色に「すげーすっげー」、おいしいものに「うめーうんめー」、
異文化に「面しれー」といった言葉が次々飛び出してきて、
彼は自然の美しさに素直に感動でき、異文化をすんなり受け入れることができる、と私は見た。
だから、実に面白い旅を続けられることになる。
現地の人や、列車で出会った人や行きずり人たちとすぐ打ち解けて、
旅の面白さがさらにまた拡大増殖していくのである。
列車の旅と銘打たれているが、列車を降りて、
各地でたっぷりと時間をとって人や自然との交流が盛り込まれている。
「イギリス編」でスコットランドでのウィスキー蒸溜所を見てから、
私はスコッチのシングルモルトを2本衝動買いしてしまった。
仕事なのだから、こちらで見ているほど楽な旅でないのはわかる、
しかし、関口は音楽や踊りや食べ物を通して、現地にすぐ同化できる、
これがいい旅人の極意なのだろう。
ゆっくりとした鉄道の旅は難しそうで、時間も取れないので叶わないだろうが、
イギリスかスイスに出かけたいと思ってしまった。
まったいらな土地かでこぼこした土地か、悩んでしまう。
(画像はイギリス湖水地方、ピーター・ラビットの故郷である。)