遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

バリー・リンドン/スタンリー・キューブリック

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バリー・リンドン


製作・監督・脚本 スタンリー・キューブリック
出演者 ライアン・オニール
     マリサ・ベレンソン
音楽 レナード・ローゼンマン
公開 1975年12月18日 アメリ
上映時間 185分

アカデミー賞 撮影賞、音楽賞、美術賞、衣裳デザイン賞を受賞。日本での公開は1976年7月。



スタンリー・キューブリックの初期の代表作は、
「2001年宇宙の旅」(1968年)
http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/18218596.html
時計じかけのオレンジ」(1971年)
http://blogs.yahoo.co.jp/tosboe51/38959530.html

それにこの「バリー・リンドン」(1975年)。

キューブリックの作品の制作費はいかばかりかと思わずにはいられない、
お金のかけよう。
ただし、前2作と同様、出演者のギャランティはたいしたことはない。
主演は、ようやく「ある愛の詩」と「ペーパー・ムーン」で名が売れた
ライアン・オニール


作品の舞台は18世紀のイギリスおよび、西ヨーロッパ。

風光明媚なアイルランドスコットランドを、たっぷり楽しませてくれる、
オスカーの撮影賞!

時代考証はおそらく完璧なんだろうと思う。
家具調度や、登場人物のコスチュームを楽しまれたし、
また、ろうそくの明かりだけの光源で、
当時の室内を再現させた画面を堪能されたし、
オスカーの撮影賞!美術賞!衣装デザイン賞!

使われた音楽が、前2作と同様、効果的なことこの上なし。
ことにヘンデルサラバンドが、
美しく美しく美しく、そして悲しく映像を引き立てる。
キューブリックの選曲の美的センスが際立った作品である。
オスカーの音楽賞!

主人公にあまり思い入れをしないでご覧いただきたい。
お馬鹿な男の虚栄に満ちた一生を、淡々と美しく描いたものである。
所詮男とはこんなもの、なのである。


数奇でお馬鹿な男バリー・リンドンの成功と挫折の一生を、
「素」で演じた感のあるライアン・オニールは、
後にも先にもこんなにいい出来の作品はない。拍手!

美しい景色のロケ先も、使ったカメラレンズも、
音楽も原作もライティングも脚本もキャスティングも、
非の打ち所がない。

キューブリックが完璧なのだということである。


この作品で使われた音楽
アイルランド民謡
ザ・チーフタンズ
ヴィヴァルディ:チェロ協奏曲ホ短調RV.409から第3楽章
ヘンデル組曲第11番ニ短調HWV.437〔第2集第4番〕からサラバンド
J.S.バッハ:2台のチェンバロのための協奏曲第1番ハ短調BWV.1060から第2楽章 
パイジエッロ:歌劇「セヴィリアの理髪師」より
モーツァルト:歌劇「イドメネオ」K.366から行進曲
シューベルトピアノ三重奏曲第2番ホ長調D.929,Op.100から第2楽章
五つのドイツ舞曲より第1番ハ長調D.90-1
など