遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

糸瓜群虫図/伊藤若冲

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 糸瓜群虫図   伊藤 若冲 




「花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に>」と銘打たれ展覧会。

宮内庁三の丸尚蔵館で、今、伊藤若冲(じゃくちゅう)に会える。


7月に上京予定がある私だが、展示替の期間にはまっていて、

どうも出会えないようである。



若冲の真骨頂は、動植物の細密画である。

下のアドレスで、そのほんの「さわり」がご覧いただける。





楽しい図鑑のような、しかしその美的感覚は世界に誇れる作品群であり、

感嘆・感動・感服してしまう。



伊藤 若冲(いとう じゃくちゅう)江戸時代の京の絵師。

正徳6年(1716年)、京都・錦小路の青物問屋「枡源」の跡取り息子として生まれる。23歳のとき、
父・源左衛門の死去に伴い、4代目枡屋(伊藤)源左衛門を襲名する。「若冲」の号は、禅の師で
あった、相国寺の禅僧・大典顕常から与えられた居士号である(「居士」は、在家の仏教信者のこと)。

若冲という人物は、絵を描くこと以外、世間の雑事には全く興味を示さなかったという。
商売には熱心でなく、酒もたしなまず、生涯、妻もめとらなかった。40歳の宝暦5年(1755年)には、
家督をすぐ下の弟に譲ってはやばやと隠居し(当時、40歳は「初老」であった)、念願の作画三昧
の日々に入った。以後、85歳の長寿を全うするまでに多くの名作を残している。

鹿苑寺大書院障壁画50面 (国重要文化財承天閣美術館
動植綵絵30幅(明和3(1766)頃までに完成) (宮内庁三の丸尚蔵館
仙人掌群鶏(さぼてんぐんけい)図 (国重要文化財、大阪・西福寺)
蓮池図襖 (国重要文化財、大阪・西福寺)



上の画像は、京都の細見美術館所蔵の「糸瓜群虫図」である。



糸瓜(へちま)を、こうもあっさり大胆にアートに仕上げる技量に、

これまた感心してしまう。


よく見ると、カタツムリやらバッタが、糸瓜で遊ぶ。

細密でカラフルな鶏を画面に何羽も描き連ねるかと思しきや、

間の取れたゆったりとした構図で、

こういう懐の深さも披露してくれるのである。



京都国立博物館蔵の「野菜涅槃図」は、「パロディはこうじゃなくちゃ」というお手本。

(ねはん【涅槃】死ぬこと。入寂(にゆうじやく)。入滅。一般に釈迦(しやか)の死をいう。)



京の粋な遊び人ではあるが、変人と言ってもいいのかもしれないが、

若冲ワールド」は、人の心を掴んで放さない魔力を秘めている。



東京や京都に縁遠い方は、

伊藤若冲」新潮日本美術文庫 ¥ 1,155 (税込み)で、愉しまれたい。