阪神タイガースの村上頌樹投手が、今シーズンのセリーグの新人王とMVPをダブル受賞しました。すばらしい、おめでとう!
新人王とMVPのW受賞は、1980年の木田(日ハム)、1990年の野茂(近鉄)に続くNPBで3人目(いずれも投手)の快挙でした。
ちなみに2001年のMLBでイチロー(マリナーズ)がW受賞していますが、これまでMLBでは28人!がW賞しているそうです。
村上は、MVPの投票で653点を獲得し、同じ阪神の2人近本(499点)と大山(490点)を押さえての受賞となりました。私は、今年のセリーグのMVPは近本にあげたい、村上は新人王を獲るからMVPは近本だと思っていましたが、村上のまさかのW受賞でした。
村上は前年まで0勝の投手でしたが今シーズンは10勝6敗でした。勝ち負けに関係なく負けゲームでも完投したりと、チームへの貢献度は勝敗の数字以上のものでした。投手の勲章というべき防御率(1.75)でも、セリーグのタイトルホルダーに輝きました。
さらに特筆すべきは、村上の今季の被安打は92、与四球15であったため、1イニング当りで出した安打と四球の走者である"WHIP"は0.741と驚異的な数字を記録しました。
1イニングに出塁させたランナーが0.74人ということは、9イニング完投しても6.7人しかランナーを出さないということですから、村上が投げる試合はいかに楽なゲーム運びができるかということを証明する数値です。
実際今シーズンの村上が投げる試合は、実に穏やな心地で観戦することができました。
昨年までプロで0勝の投手でしたが、智弁学園時代の高校3年のセンバツで一人で全試合を投げ抜いて全国優勝もしていますし、キャリアは積んでいた選手でした。なので、CSの初戦や日本シリーズの初戦で先発して勝利投手になったのも、さもありなんと思うわけです。
今シーズンの山本由伸の防御率は、1.21というすごい数値ですが、その山本のWHIPは0.88ですから、繰り返しになりますが村上の0.74は素晴らしい記録でした。MVPの投票をした記者たちはこういう数値も考慮に入れたと思います。
過去のWHIPの最高値は、1936年秋シーズンに大阪タイガースの景浦将が記録した0.7193です。今シーズン村上はそれに続く史上2番目のWHIPだそうですが、景浦の記録はわずか57イニングで記録したものです。
戦後NPBの最高記録は、阪神タイガースの先輩である村山実がルーキーイヤーの1959年に295回1/3を投げて記録した、0.7483でした(防御率は1.19だった)。今回、村上は64年ぶりに村山実の記録を上回りました。
上の画像の村上と山本。二人とも同学年の25歳で前途洋々の若者で、高校時代は村上がほぼ頂点にいました。ただし現在の年俸は、村上750万円(MVP受賞者の過去最低年俸)、山本6億5千万円と「2桁」「87倍」も差がついています。
山本はMLBに移籍してビッグマネーが動くと思いますが、村上もせめて一挙に1億円プレーヤーになれれば、阪神タイガースシンデレラ物語になって楽しいのですがね。
ということで、今シーズンの阪神タイガースに突如登場したスター選手村上頌樹。ケガなく、あと10年は活躍していただきたいと切に願うきょうこの頃でございます。