新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置が終了したと思ったら、こんどは「電力需給ひっ迫警報」が発令されました。
はじめての発令です。
先だっての震度6強の大きな地震で、火力発電所からの電力供給がストップしたことで、10℃を下回る寒のぶり返しによる電力消費が増大し、東北電力と東京電力管内が停電になる恐れがあることから「電力需給ひっ迫警報」が発令されたようです。
3.11からすでに11年たちますが、いままで何をしていたのでしょう。再生可能エネルギーによる発電能力(現在は全体の18%程度)をもっと高めて来なかった経産省は、つくづく無能だと言わざるを得ません。
そもそも、日本の火力発電所の耐震性能が低すぎたことによりこのたびの警報が発令されたわけで、関東大震災以来日本列島で震度6の地震が起きる確率頻度は決して低くないのでに、電力会社と経産省のリスク管理が機能していないことからこういう事態になったのではないでしょうか。
原発は停止した後に廃止し、火力発電所は再生可能エネルギーによる発電量が増えていくまで耐震性能を上げるのか別の方法で稼働停止リスクを下げるのか、いま一度はっきりした方針を立てるべきでしょう。
日本は37%の発電源を天然ガスに頼っていますが、その輸入先は多い方からオーストラリア、インドネシア、ロシアです。天然ガスは効率よく燃えるためCO2の排出は意外と低く抑えられるのですが日本にその埋蔵資源はありませんし、その供給先にロシアが入っていることが今となってはこれまた大変なリスク要因になってしまいました。
プーチンは、ロシアの天然ガスがヨーロッパ(NATO)の主要な電力源になっていることを楯にウクライナに侵略しましたが、その影響は限定的でしたし、イギリスやEUはひるむことなくロシアに対峙していて立派です。
日本は、自国で調達できる電力供給に役立つ資源がない国ですから、天然ガスや原油や石炭の輸出国から足元を見られ続ける運命にあります(これはさしあたっては食糧自給率より深刻な問題です)。なので日本こそ再生可能エネルギーによる発電が最も急がれる国だったのですが、経産省は何をしているのか、逆に足を引っ張ているようにも見えます。
再生可能エネルギー発電を促進しても、従来の発電産業、つまり施設関連の大規模開発やエネルギー源の大量輸入事業など大手企業にうま味はないので、大企業とともにある経産省はここまで手をこまねいていたと容易に想像できます。
また、あと10年以内に世界は電気自動車時代に突入しますが、そのためにも日本の発電をどのようにマネジメントしていくのかが問われることになります。
そう遠くない未来にガソリンスタンドが消えていき、車のための充電スポットが充実していくことになるのですが、そのときにしばらく停電しますので「電力需給ひっ迫警報」でよろしく、てなことが許されるのだろうか。
ということで、今回の「電力需給ひっ迫警報」はなんとか停電を回避できましたが、資源輸入国の日本は、できる限り早いうちに再生可能エネルギーにシフトしていくべきことを思い知った一両日でありました。日本の核武装を論議などしている場合か!