遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

映画「オクトパスの神秘 海の賢者は語る」とともに漂う

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誰が言っていたか思い出せないのですが、その信頼すべき誰かがこの映画がいいと言っていたので見る気になりました、NETFLIX製作のドキュメンタリー映画「オクトパスの神秘 海の賢者は語る」

この映画に出演し、ナレーションと撮影(一部)も担当したのが映像作家のクレッグ・フォスター。彼が美しい南アフリカの海の中で出会ったのが一匹のメスのタコ。

映画の中ではずっと「彼女」と呼ばれていたタコ(以下、彼女とします)と、海の底で偶然出会って観察を続けているうちに、彼女の方からクレッグに近づいてくるという奇跡に映画の初めの頃に出会えます。

それ以来、彼女にすっかり取りつかれてしまって毎日素潜りで彼女に会いにいく男の記録映画となっています。

動物ドキュメンタリー大好き人間ですが、全編がタコのエピソードを扱ったドキュメンタリーを見るのは初めてで、賢くて優雅な彼女の生態は実に興味深いものでした。

残念ながらタコの寿命は1年前後のようで、彼女の1年が1時間25分に凝縮された映画となっています。

彼女の生涯は、山あり谷ありのスリリングなもので、意外なごちそうをうまく捕らえて賢く食べたり、逆に捕食動物から食べられそうになったり必死に隠れたりするうえに、カメラを持った中年のヒト科の動物(グレッグは紳士でしたが)にも毎日追っかけられる生涯でした。

ただし彼女は、自分が撮影対象だということを判っていたような名演技を繰り返しました。

ケルプの生い茂る豊かな南アの海中には、美しい自然と魚介類や小動物が存在するのですが、私もその中にどっぷり浸かって漂っている気分でした。

ああいう豊かで美しい海には、物語があり奇跡が起きるのだろうと激しく納得するのでした。とても爽快なドキュメンタリー映画でした。

この作品は2021年にアカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞を受賞しています。

オクトパスの神秘: 海の賢者は語る My Octopus Teacher
監督・脚本    
ピッパ・エアリック
ジェームズ・リード
製作    クレイグ・フォスター(英語版)
製作総指揮    エレン・ワインドマス
音楽    ケヴィン・スマット
撮影    ロジャー・ホロックス
製作会社    配給    Netflix
公開     2020年9月7日
上映時間    85分
製作国    南アフリカ共和国

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