遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

他人をうらやまず、自分の心を育てれば幸せになれるかも

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星野源新垣結衣の結婚ニュース。ビッグカップルの誕生という、つかの間の嬉しいニュースが列島を駆け巡った。おめでとうございます!

それに比べれば、1000万分の1くらいの小さなさざ波が立っていた記事があった。

それは読売新聞の「人生案内」で、神奈川県のH子さんの人生相談だった。回答したのは作家のいしいしんじだった。

 (H子さんの相談内容)

30代の女性会社員。負の感情で苦しいです。
 私は高齢の両親と暮らしています。父は数年内に自営業をやめる予定で、母は専業主婦。父が仕事をやめたら、両親の年金と私の給料を合わせて何とか生活していくことになります。貯金も大してありません。
 私には姉がいますが知的障害があり、施設に入所しています。私は容姿も悪く、家庭の事情もあるので、結婚などということは早々に諦めました。両親と姉の生活を支えて生き、あと30年くらいたったら死んでしまおうかと思っています。
 自ら選んだはずの人生なのに、時折どうしようもなくつらい気持ちになります。自分一人で家族を支えきれるのかという不安。結婚や出産をしている友人への羨望、自己嫌悪。形容しがたい感情が渦巻くのです。
 自分の人生にどう折り合いをつけたらいいのでしょうか。(神奈川・H子)

 いしいしんじ(作家)
(抜粋)
 出会いはふとしたことかもしれない。ただあなたが本気で求めるなら、どんなささやかなことだって、終正あなたを支えてくれるしなやかな杖となりうる。
 ひとりで生きることと孤立とは違う。金魚鉢でも画布でも、あなたはこの世の中心を自ら選ぶことができる。その中心から、あなた自身のいのちを、ふくよかに伸ばしていくことができる。
 30年後まわりから「あのひと自由ねえ」と羨ましがられているのは、あなたかもしれない。

いしいしんじの投げかけた言葉は、作家としての誠意ある回答で好感が持てる。

能天気な私は、あまり悩まずに生きてきた。自分を馬に例えれば、血統のない駄馬で、調教も世話もされないで、狭い囲いの中で放し飼いにされ、そこに生えた牧草だけ食べて生きてきて人生を終えようとしている。

その結果、私も「あのひと自由ねえ」と羨ましがられているかもしれない。

もちろん、若い頃はいろいろ未熟で、新垣結衣のような女性と結婚した人が近くにいたら羨んでいたと思う。しかし、何をどう悩んでも現実をすべて変えることはできないこともわかっていたので、結果的にだが、自分ひとりで楽しめる心を育てていったように思う。読書や音楽・映画・芸術鑑賞やスポーツや仕事などを無理せず楽しんだ。

ほかの人を羨ましいとあまり思わないで、幸せは自分の心に住む楽しみに見つけられると思うので、H子さんに幸せになってもらいたい。同様に、星野源新垣結衣にも幸せになってもらいたい。