遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

祝・貴景勝優勝/大相撲11月場所

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2020年の大相撲11月場所はコロナ禍の中「九州場所」にはならず、蔵前の国技館で昨日千秋楽を迎えた。

千秋楽結びの一番は、貴景勝vs照ノ富士の大一番になった。

貴景勝が勝てば14勝で優勝が決まる一戦は、1敗差で追いかける照ノ富士が見事に大関を倒して優勝決定戦に持ち込んだ。

貴景勝は、プロレスのボディスラムのように背中から土俵にたたきつけられた。照ノ富士は、絶えずひざの故障を持ちながらの復活劇を果たしてきたのだが、この一戦は自分のひざをかばってか貴景勝の体に倒れこむような受け身を取った。なので、自分の体重と照ノ富士の体重プラス二人のパワーが貴景勝の背中に集中していた。

貴景勝が背中から土俵に倒れた姿を見て、私は貴景勝は次の一番はもう取れないのではと心配した。しかし勝負が決着した後、貴景勝は瞬時に起き上った。そして、10分後の優勝決定戦では、照ノ富士に何もさせないまま一気に土俵外に押し出して、2回目の優勝を手に入れた。照ノ富士の膝が前の一番の後で万全ではなかったのかもしれなかったが、貴は見事な勝ちっぷりであった。

優勝インタビューでも、きちんとした言葉を持つ立派な大関だということを知らしめした。アッパレ!

貴景勝の全身を真横から見ると、その幅広さ(分厚さ)に驚く。あの丸い全身に、パワーを生み出し身を守る筋肉が生きているのだと、優勝決定戦を見て改めて思い知った。ケガをしないで立派な横綱になっていただきたい。

一方、私の応援するもう一人の若武者朝乃山は、残念ながら場所中のケガで休場となってしまった。

朝乃山の初日の素晴らしい勝ちっぷりを見て優勝を確信した私だったが、その直後の土俵下で自分の右腕を見て「やっちゃった」というように顔をしかめていたので、彼の休場を聞いてさほど驚かなかった。

彼には、しっかりケガを治して2021年は横綱を張っていてほしいと願っている。貴景勝と朝乃山という全くタイプの違う二人の横綱を見たいと思っている。

そして、大ケガをして十両にまで復帰した宇良も、今場所9勝を挙げ少しずつ本来の彼の相撲に近づいてきていて、これも嬉しい結果だった。

場所前にYouTubeで宇良の所属する木瀬部屋の朝稽古のようすを興味深く見たが、十両以上に7人もいる稽古は充実したものだった。

宇良(9勝6敗)はもとより、徳勝龍(8-7)、志摩の海(11‐4・敢闘賞)、明瀬山(9-6)、英乃海(7-8)、美ノ海(7-8)、常幸龍(9-6)と、木瀬部屋十両以上の関取たちはみな好成績だった。英乃海は14日目にけがをして惜しくも勝ち越せなかったが、全力士が素晴らしい成績で、あの朝稽古を見ていたらうなずける結果だった。アッパレ!

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ということで、次の場所の開催がまた危ぶまれるコロナの蔓延ぶりだが、みなケガを癒して身体を手入れして十分なけいこに励んで次の場所に備えていただきたい。