遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

75歳支給年金は、薄い給料で長く働かせる仕組みづくり法案だ

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こんなときに、どさくさまぎれに年金「改悪」法案が提出される。

年金の受給の上限を75歳に引き上げるのだそうだが、65歳からの受給額の1.84倍貰えるようになる。ただし、上の図のように、86歳まで生きないと65歳からもらうコースの受給額を上回らないのだそうだ。

www.tokyo-np.co.jp

《政府は2020年の通常国会に提出する年金制度改革の関連法案に、高齢者の就労を促すため、年金の受給開始年齢を選べる上限を75歳に広げ、75歳から受給すれば年金の月額を1.84倍にする見直しを盛り込む。月額は増えるが、受け取る総額が65歳からもらい始めた人を上回るには、86歳まで生きなければならない。識者は慎重な判断が必要だと指摘する。》

 

「皆さん75歳までお仕事しましょう!」ということらしいが、75歳まで仕事をしたい人がどれくらいいるのだろう。

元気なうちは働き続けて社会のために役立ちたいし、年金より多くの給料による収入も得たい人はどれくらいいるのだろう。

上級国民は60歳から65歳くらいまでに老後資金も十分に貯えられ余生を楽しく暮らせるようになり、そうでない国民は75歳まで薄給に苦しみボロボロになるまで働くことにならないだろうか。

生涯賃金生涯賃金の総量)」を変えることなく、薄い給料で長く働かせる仕組みづくり法案だと私は思う。

法案が通れば、賃金支払い側はじわじわと今よりも薄い給料としていかざるを得なくなり、給与生活者は60歳や65歳で預貯金が2000万円に達しなくなる。そんな人らが選ぶ選択肢は、仕方なく75歳まで働き続けることなのではないだろうか。

官民一体となって、上級国民以外は、奴隷のように働かせる仕組みづくりなのだ。75歳からの支給の選択肢が増えるのではなくて、60歳や65歳では、幸せな老後を迎えられなくなる給与体系を官民一体(政府と財界がタッグ)となって作り上げる法案なのだ。

株式に投資して破たん寸前の年金制度を下支えする年金改悪法案でもある。

国民が選挙で信任した与党は、無能でケチ臭い与党であることが新型コロナウィルス対策で露呈したが、こんどは年金をごまかそうという悪だくみをこんな時にこっそり決めようとしている。

野党の諸君は、この悪だくみについてきちんと国民に説明してくれたまえ。騙されてはいけませんぞ。