東京五輪のマラソン代表を一発勝負で決めるMGC、私は男女それぞれのレースの録画をしながら、女子の放送をライブで見ていました。
NHKが事前に、女子マラソンの主要な3人にスポットライトを当てた番組を放送していたので、その3人のだれがMGCで東京五輪行きを決めるか注目していました。その3人とは、福士(ワコール)と鈴木(日本郵政)と松田(ダイハツ)の3選手でした。
女子のMGC出場者10人のだれが東京五輪行きを決めてもよくて、特に思い入れのある選手はいなかったのですが、番組で紹介されていた3人の選手を中心に2時間30分を愉しみました。
20キロ手前で、するすると先頭に出てきたのが、前田穂南(てんまや)でした。
私は初めて知った選手でしたが、長身細身で無駄のないきれいな走りは、マラソンに最適な選手だとすぐ感じました。福士も素晴らしいフォームで、どちらかというとバネの利いたトラック競技向きの走りのように思うのですが、前田の走りは長距離向きだと感じました。
20キロ以降は前田の独走で、最後まで持つかと心配しましたが、スタミナも残っていて見事にぶっちぎりでゴールしました。アッパレ!
わたし的には、前田はすい星のように現れた選手です。渋野日向子に次いで、岡山からまたシンデレラが誕生しました。
前田穂南は、生まれが尼崎で高校が大阪の薫英女学院で、所属が岡山の天満屋ですので、関西っ子ランナーとしてとりわけ応援していきたいと思っています。
高校の時はほぼ無名で、社会人になって唐突に出現したところが高橋尚子にも似ていて、まだ「使い減り」していない伸びしろが期待できます。あまり物事に動じないようなキャラも良い傾向で、大試合では大仕事をやるかもしれません。でも、メディアはあまりメダルプレッシャーをかけないようにしてほしいものです。
2位に入った鈴木亜由子もよく頑張りました。アッパレ!
出場枠はあと1つ残っていますが、男女それぞれ残りの3つの指定レースで基準記録に群がる選手たちがまた楽しませてくれるでしょう。3月まで闘いは続きます。
【東京五輪代表条件】
1)MGCで「2位以内」が「即内定」。男子=中村匠吾(富士通)服部勇馬(トヨタ)、女子=前田穂南、鈴木亜由子←いまここ。
2)3位以下の選手(MGC不出場者を含む)が、2019年11月から20年3月の指定レース(男子=福岡・東京・びわ湖。女子=さいたま・大阪・名古屋)で、男子2時間05分49秒以内、女子2時間22分22秒以内をクリアした場合、最もいい記録の選手が3人目に内定。
3)「2」で突破者がいない場合は、MGC3位の選手(大迫、小原)が内定。
4)MGCで5位以内の男女各2名は「補欠」の資格を有する。