遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

NHKドラマ「みをつくし料理帖」

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まだ春先のこと、髙田郁(かおる)原作の「みをつくし料理帖」がNHKのドラマになると聞いていた。原作の大ファンだった私でも、それだけでは食指が動かないのだが、主人公の澪役を、大のお気に入り女優黒木華が演じると聞いて毎週予約録画をセットした。

黒木華は大阪ネイティブ。上方の女料理人という主人公が、仕事(料理)や恋に一途でひたむきに生きるという設定だから、黒木が主人公というのは絶妙なキャスティングであった。

彼女が主演ならあとのキャストはどうでもいいと思っていたが、たしかにその通り全8回をたっぷり楽しめた。

しかし、森山未來永山絢斗小日向文世麻生祐未萩原聖人木村祐一村杉蝉之介松尾スズキ伊武雅刀などが脇を固めており、彼らもほぼ申し分のない配役だった。変えてほしいキャストもあるが、敢えてそれは言わないでおく。

原作では叶わないものが、目の前で作って出される料理であろう。大店の高級料理ではなく、町衆をうならせる安くて旨いものが、見ているだけの視聴者もうならせるようなおいしそうな料理として供されるところが、映像ならではの特長である。しかも、原作のようにその料理の作り方まで番組の最後に黒木華自らが指南してくれるのだから、丁寧なドラマ作りである。

ドラマは38分という間尺で、その長さもとてもいい塩梅だと思った。

さて全8回のドラマは、原作の全シリーズのストーリーからすると、まだまだ中途の段階で、このドラマはシリーズ化されるはずである。もしそうでなければ、受信料返せデモが起きると思う。あんな金のかかる大河ドラマの予算を削ってでも、「みをつくし料理帖」を続けることをNHKにはお勧めする。良いドラマであった。

これを機会に、未読のお方には原作もお読みになることもお勧めする。

キャスト
澪 - 黒木華
小松原 - 森山未來
永田源斉 - 永山絢斗
芳 - 安田成美
嘉平衛 - 国広富之
佐兵衛 - 柳下大
ふき - 蒔田彩珠
伊佐三 - 小林正寛
あさひ太夫 - 成海璃子
又次 - 萩原聖人
菊乃 - 柳生みゆ
清右衛門 - 木村祐一
坂村堂嘉久 - 村杉蝉之介
末松 - 毎熊克哉
伝右衛門 - 伊武雅刀
富三 - 大倉孝二
駒澤弥三郎 - 波岡一喜
坂梨志摩守 - 山崎一