遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

らくがき/三岸節子

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    らくがき 1973年 92.2 x 72.9cm 愛知県美術館

三岸節子は1968年にフランスに移住し、1991年に帰国した。

1954年に初めてフランスに渡り、南仏に定住するまでしばらくの時間を要した。三岸は63歳で移住したが、それは今の私の年齢と同じで、そのバイタリティに感服する。「芸術は長く人生は短し」と故事にあるが、実際は長生きした三岸だったが、短い人生を懸命に生きようとした。あるいは、31歳で夭折した夫、三岸好太郎の分まで生きようとしたのかもしれない。

ご紹介の作品は、そのフランス時代のもの。

よく見ると、中央に人間の目鼻がペインティングナイフの線描で表現されていて、まさに壁に落書きされたような作品だが、大胆な構成と色使いが三岸らしい。
こんな素敵ならくがきがしてみたい。

この作品は、愛知県立美術館が所蔵しているが、この美術館の古今東西の多くの作家のコレクションは素晴らしいものがある。