「芸術は長く人生は短し」と言いますが、芸術家は長生きするような気がします。
結核で夭折したお方もいましたが、一般的に長生きする人が多いと感じます。
現在日本に存在する「名前が冠になった個人美術館」の当事者である芸術家を見てみると、長生きしたお方ばかりで、いい仕事を残した方は長生きだったとも言えるようです。(以下、お名前と享年、存命者は現在の年齢、個人美術館の所在地)
浜口陽三(版画家)91歳 東京都中央区
東郷青児(洋画家)81歳 新宿区
秋山庄太郎(写真家)82歳 港区
向井潤吉(洋画家)93歳 世田谷区
富本憲吉(陶芸家)77歳 奈良県安堵町
小磯良平(洋画家)85歳 神戸市
以上。死ぬまで現役だった方がほとんどでしょうから、60代初めの私などまだひよこのようなものです。
ただし彼らは、基本的には好きなように働いてきて食えた方だったでしょうから、長生きをして当然だとも思います。
私は、ようやく好きなように生きていける身になったので、今から芸術家のように暮らせば長生きするかもしれません。ただし、まったく芸術的な素養がないうえ、収入もおぼつかない故、食っていけるかどうかが問題ではあります。
さて、画像は「ようこそ!横尾温泉郷」から。
上段左から
「乙女湯(へちまと壺)」 2004年
「金の湯」 2005年
「城崎幻想」 2006年
「草津よいとこ一度はおいで」 2005年
「熊本温泉タンゴ」 2005年
「銭湯」 2002年
以上。ファンタスティックというかお気楽というか、まさに楽しい温泉郷の雰囲気は存分に出ています。
この展覧会には、横尾がプロの画家になったきっかけとなったポスターも展示されていました。
それは1956年(昭和31年)のことだったそうで、頼まれてもいないのに静岡県の観光ポスター「SHIZUOKA」と、日航の宣伝ポスター「JAL」を作成して自分たちの個展に展示しました。その2作品(西脇市岡之山美術館蔵)が、今回の展覧会で展示されていましたが、お気楽な作品ではなく、20歳の若者らしいシリアスでモダンでお洒落で見事な作品でした。そりゃスカウトされるわな、というレベルの高さです。
ちょうど同じ頃、「べっぴんさん」のモデルとなった神戸のファミリアがはじめて東京に進出しました。
以上、60年前の神戸のお話でした。