イギリスの風景画家ターナー(1775-1851)が、20ポンド紙幣の肖像になるという比較的新しいニュースは、気にも留めなかった方が大方だろう。私は小学生で読んだ夏目漱石の「坊ちゃん」でターナーという画家を認識していた。ターナーの描いた風景画より早く、画家の名前だけ認識していた。
黄金色に輝く麦畑がまぶしくて、中央の影のような街並み(集落?)との対比が鮮やかである。正確な大きさはわからないが、この作品も縦が1mくらいの大作だった。青や赤が「三岸の色」といってもいいだろうが、風景画はこのようなバリエーションの絵画も多く存在する。
ターナーから200年後、75歳の日本人女性は、こんなに大胆な風景画を描くのである。漱石ですら想像を絶することではないだろうか。私は、ターナーより、近づきがたいほど野太い世界観を持つ三岸の作品の方に惹かれるのである。