遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

川内市の不幸と鎌倉市の周到

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鎌倉市が市民向けに製作した動画、「鎌倉で津波から生き延びる」が素晴らしい。

この動画には以下のようなことが分かりやすくまとめられている。
◆強くて長い揺れを感じたら、津波が発生すると思いなさい。
◆高潮や高波と津波はまったく違う性質のものです。
◆8分以内に、車を降りて高台に「足」で非難しなさい。
◆あるいは、津波避難空地か津波避難ビルに避難しなさい。
◆それらはどこにあるか知っていますか?
◆そこに行きつく道を知っていますか?

要するに津波から生き延びるサバイバル・ビデオである。
市内の由比ガ浜、七里ガ浜、鎌倉駅、腰越の4地点別に避難方法を示している。

鎌倉市は、道路表面に避難路方向をカラー・ペイント(画像)したり、津波避難ビルはこのビルですという看板を掲示したり、津波から市民を守ろうとする態勢が整っていて見事である。
大きな防波堤など新規に造らないし、造ってもきりがないこともわかってらっしゃる「大人の自治体」である。

防波堤は造らないが、大きな強い揺れから何とかして8分以内に安全地帯へ住民を誘導できるように、ビデオなどで呼びかけているのだ。
東日本大震災では、三陸海岸津波が到達するまで30分くらいの時差があったが、鎌倉は断層から近くて約8分で津波が到達するという。

何百億円もかけてスーパー堤防を作ってハイおしまい行政と、少しでも高いところへ市民を誘導して命を救おうと日ごろから準備している行政では、どちらが多く津波から人命を救助できるか。クイズが苦手の安倍首相でもわかるのではないのだろうか。

ただし、鎌倉市には原子力発電所は存在していない。
原発事故から逃げるには8分では足らない。1万年は逃げ回らなくてはならないのである。

4月6日、川内原発の運転差し止めの即時抗告審は、福岡高裁は住民側の申し立てを退けた。川内市は、目先の経済効果に目がくらんで原発を建設したが、富裕層が住んでいそうな鎌倉や逗子市に原発は絶対建設されないだろう。川内の原発賛成派市民たちは、自分たちが危険物を背負い込まされ差別されていることに気づいていないのだろうか。

いずれにせよ、海に近い自治体は、鎌倉市のような避難対策を直ちに取るべきだろう。