遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

これは法治国家、民主主義国ではない

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このたび国会に提出された戦争法案に関して、記者会見した安倍総理は「もはや一国だけでは自国の安全を守ることはできない時代だ」と言ったとか。

これは、「どこの国から」自国の安全を守るのかとはっきり言えない(言うと波風が立つから)ものの、仮想敵国は中国を想定しているのだとしたら、「平和的な外交」(経済・文化・観光などさまざまな側面での交流を推進する)でやるべきだろう。その方が安全で簡単で、国益もあると思う。
そのもっとも端的な実例は、先だってキューバと歩み寄ったオバマ政権であろう。「握手」をすることで、どれくらいリスクとコストが減っただろう。

中国と韓国とは、まさに国益のため「握手」をして歩み寄るべきであろう。それが自国の安全を守るにはいちばん近道なのだ。そもそも3年前までは、握手していた国だったのだ。「個別的自衛権」でさえ必要のない関係だった(今も!)。
今はどうしようもない北朝鮮は、当面静観するしかないだろう。北朝鮮が敵愾心を抱いている国は日本だけではないので、つまるところ北朝鮮は世界を敵に回しているので「個別的自衛権」の範囲内で監視していくだけでいい。

それよりも、首相が米議会で演説したり国内で戦争法案にかかる記者会見をすることのリスクが心配だ。中東に資金援助して、ドヤ顔で記者会見したことで、二人の日本人がISによって殺害されたことを考えると、今回の首相のパフォーマンスは、ISの神経を逆撫ですることにならなかっただろうかと心配だ。
海外在住の邦人のことを首相はいつも心配して、だから集団的自衛権が必要なのだと説くが、「お前がドヤ顔で意味のないカネをばらまきパフォーマンス会見をするから邦人が危険になるのだ」という声が聞こえてくる。

自民党の中枢にいた山崎拓。彼は長らく自民党の中枢にいたし、防衛庁長官でもあった。
今回の法制の動きを見て「これは法治国家、民主主義国ではない。」とテレビで話をしていたようだが、つまりわが国は「軍事国家」だと言いたのだろう。

私は何度も自分のブログで同じことを繰り返して言うが、「一強」になってしまった自民党の中から安倍首相周辺の動きを止めないかぎり、留まるところを知らない事態に立ち至ってしまうだろう。「自衛隊員は過去に1800人も亡くなっている」と言った首相は、事故で亡くなることと戦闘で殺戮されることとの違いがもうすでに判らないのではないか。これは危険だ。

想像力のない政権政府では、国としてのリスクもコストも増大していく。この二つを増やさないのが政治の力である。野党も頑張り時だ。