遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

「坊ちゃん」の登場人物

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秋に松山へ行ったときに、道後温泉本館のすぐそばで、お土産のじゃこ天を買った。そこは坊ちゃん広場と呼ばれ、漱石の小説「坊ちゃん」の登場人物のコミカルな人形が置いてあり、記念撮影の演出にひと役買ってくれていた。(画像右から赤シャツ、狸、坊ちゃん、山嵐、マドンナ、うらなり、野だいこ。)
その登場人物たちを思い返し、坊ちゃんを読んだころを思い出しながら、松山を後にした。

私が「坊ちゃん」を読んだのが小学5年か6年生の頃。はじめて読んだときは、漱石の文体そのものやマドンナをめぐる話の展開が子ども向きではなく、つかみどころがなくてなかば放棄。しかし小学生時代にもう一度読み返して、「なまたまご」のシーンが痛快だと思えるくらいにまでには成長していた。また、小学生にして「画家のターナー」や「たいこもち」「骨董屋」といった職業の存在や「マドンナ」という美女の表現方法もこの小説で知った。

はじめて原文で読んだ小説が「坊ちゃん」だった。その登場人物、狸や赤シャツや野だいこのような人間には決してなるまいなどとはっきり思ったわけではないが、そういった思いが私の心の奥深くに小さな一つの塊をつくったと思われる。
以後、成長する過程で接した古今東西のさまざまな物語とその登場人物たちと接することで、少なくともこういう人間にはなるまいとしてそうしてきたようにも思う。

坊ちゃんが書かれて100年以上経つが、この小説の登場人物たちはいまの世の中の縮図でもある、100年経っても同じなのである。

【小説坊ちゃんの登場人物紹介:ウィキペディアより】
坊っちゃん(もしくは坊ちゃん)
本編の主人公。語り手で、1人称は「おれ」。また第11章では作中人物から「勇み肌の坊っちゃん」と言われる。無鉄砲な江戸っ子気質の持ち主。両親は冷たく、兄とは不仲である。物理学校の卒業生で、四国の中学校で数学教師になる。

坊っちゃんの家の下女。明治維新で零落した身分のある家の出。家族に疎まれる坊っちゃんを庇い、溺愛している。

数学の主任教師。会津出身。正義感の強い性格で生徒に人望がある。坊ちゃんとは仲違いもあったが、たびたび彼に陰湿な悪戯をする生徒たちの行為が職員会議で問題になり、その際生徒を厳罰処分にするよう求める(第六章)。外食を禁止していながら、芸者と密会している赤シャツと野だいこを坊ちゃんと一緒に懲らしめる(第十一章)などして友情を深める。

赤シャツ
教頭。坊っちゃんの学校でただ一人の帝大卒の文学士。陰湿な性格で、坊っちゃんから毛嫌いされる。通年、ネルの赤いシャツを着用する。マドンナを手なずけて婚約者のうらなりから横取りする(第七章)。独身。芸者と旅館で密会したところを山嵐と坊ちゃんに野だいこもろとも叩きのめされる(第十一章)。
漱石は自著「私の個人主義」の中で「当時其中学に文学士と云ったら私一人なのだから、赤シャツは私の事にならなければならん」と語っているが、これは赤シャツが漱石自身というよりも、若い教師たちから文学士である自分が煙たがられていないかといった不安の反映であると同時に、東京帝大出を鼻にかけて権力を振りまわすような傾向が教育界にあってはないらないことを同窓に警告しているとする説がある。

野だいこ
画学教師。東京出身。赤シャツの腰巾着。名字は吉川。江戸っ子で、芸人ふうに「…でげす」(…です、の意)と言う。赤シャツと様々な悪巧みをするが、芸者と密会した帰り道で山嵐と坊ちゃんに懲らしめられる(第十一章)。

うらなり
英語教師。お人よしで消極的な性格。元マドンナの婚約者であったが、赤シャツの陰謀(表向きは家庭の事情)で再三拒否したにも関わらず延岡に転属になる(第九章)。名字は古賀。山嵐と並んで坊ちゃんの理解者の一人であり、下宿先のいか銀を退去した坊ちゃんに萩野夫婦の下宿人になることを勧める(第七章)。

マドンナ
うらなりの婚約者だった令嬢。赤シャツと交際している。坊っちゃん曰く、「色の白い、ハイカラ頭の、背の高い美人」、「水晶の珠を香水で暖ためて、掌へ握ってみたような心持ち」の美人。作中のキーパーソンだが、セリフはなく出番もわずか。名字は遠山。

坊っちゃんの学校の校長。事なかれ主義の優柔不断な人物。奏任官待遇(第四章)。