チャイナタウン Chinatown
監督 ロマン・ポランスキー(40)
脚本 ロバート・タウン(39)
出演者
ジャック・ニコルソン(37)
フェイ・ダナウェイ (33)
ジョン・ヒューストン (68)
日本公開 1975年4月12日
上映時間 131分
ロマン・ポランスキーの「チャイナタウン」は、本国アメリカでの公開が1974年6月という。私は、映画完成の40年後に初鑑賞。
ポーランドの監督ポランスキー(「戦場のピアニスト」2002年)は、不幸な出来事シャロンテート事件(1969年)から立ち直ったころの意欲作。探偵役ニコルソンに絡むナイフを持ったチンピラ役で本人もカメオ出演している。結局は、世にも有名なシーンへの出演となった。
ジャック・ニコルソンとは1969年の「イージー・ライダー」で出会って以来多くの作品を見てきたが、代表作のひとつともいえる本作は初鑑賞。ニコルソンは、この主演作と前年作の「さらば冬のかもめ」と次年度「カッコーの巣の上で」で3年連続でアカデミー賞候補になり(「カッコーの巣の上で」で受賞)、30代後半の絶好調の時代。
フェイ・ダナウェイは、1967年の「俺たちに明日はない」から7年後、すでに大女優の風格を持って本作に主演している。過去ある女を演じて右に出る者はいないと思わせる貫禄。クラシカルな細い眉のメークアップで、妖艶に仕立てられた大女優がここにいる。
ジョン・ヒューストンは、監督としてすでに巨匠だったが、本作では複雑な凄味のある大きな役を演じている。
時は1930年代。ニコルソン演じる私立探偵ギテスは、ある婦人から市水道局の幹部でありダム建設技師である夫の浮気調査を依頼される。その調査を進めるうちに、ギテスはダム建設にからむ殺人事件や愛憎事件に巻き込まれていく。
ギテスは元警官で、彼の警邏していた「チャイナタウン」で繰り広げられる中国人たちの営みに警官は無関心でいなければ職務を全うしているとは評価されなかった。チャイナタウンでは、できるだけ何もしない(As little as possible)でいることを求められた。
脚本家のロバート・タウンは、実際にチャイナタウンで警官をしていた男から聞いたこの言葉から、本作を着想したという。
しばらくの間2000年代の映画を立て続けに見ていた身としては、本作のような40年前のしっかりしたハード・ボイルド物語が、ミステリファンのわが細胞にすんなり受け入れられる。脚本(アカデミー賞受賞)は、レイモンド・チャンドラーのようにしっかりしているし、コスチュームやセットも品があって、これでこそフィルム・ノワール(暗黒映画)の真骨頂だとうならせる。
40年経っていても風格は失われない。