遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

ネットワーク/シドニー・ルメット

イメージ 1

ネットワーク Network
出演者
ロバート・デュヴァル、ベアトリス・ストレイト
日本公開 1977年1月29日   上映時間 121分


いつか見ようと思っているうちに40年近く経ってしまった、映画「ネットワーク」をテレビ録画鑑賞。

監督はシドニー・ルメット。「十二人の怒れる男」「セルピコ」「評決」などが代表作。

舞台はアメリカの巨大ネットワークを抱えるテレビ局。そのテレビ局のニュースキャスター(ピーター・フィンチ)が、番組を降板させられることを悲嘆して、あろうことか生放送中に「私は自殺すると」独白してしまう。ここからこの物語が始まる。

テレビ局の看板番組であるニュース番組の視聴率競争にまつわるドタバタ劇を、シリアスに描いた作品に仕上がっている。視聴率が上がれば何だってするという、テレビ局の姿勢は古今東西何も変わっていないなぁということが実感させられる。

いわゆる女の武器を活用してのし上がっていくモーレツプロデューサーにフェイ・ダナウェイ。視聴率が上がろうが下がろうが、とにかく収益が上がれば良しとする、金融親会社から派遣された副社長にロバート・デュヴァル。ニュース報道担当セクションの幹部で、フェイ・ダナウェイの色香に惑わされ、公私ともに中途半端な中年色男にウィリアム・ホールデン。この3人に、番組の看板キャスターのピーター・フィンチが絡んで、ニュース番組内容がエスカレートしていく。

フェイ・ダナウェイアカデミー賞の主演女優賞、ピーター・フィンチが主演男優賞、ウィリアムホーデンの妻役のベアトリス・ストレイトが助演女優賞をそれぞれ受賞した。賞はもらえなかったが、大御所のホールデンやすでに「ゴッド・ファーザー」の弁護士役で存在感を見せていたロバート・デュヴァルをはじめ、出演者はみな好演したと思う。

しかし、局内のドタバタ劇をシリアスに描いた結果が、まるで喜劇のような出来上がりになっているのが感心しない。いっそのこと、ぐだぐだの喜劇にしてしまえば楽しかったのに、シリアスになればなるほど間が抜けたシーンが散見された結果になってしまったと思う。ラストシーンなどは、まるで茶番であった。

この年のアカデミー賞の作品賞候補は「ロッキー」(受賞)、「ウディ・ガスリー/わが心のふるさと」(未見)、「大統領の陰謀」、「タクシードライバー」と「ネットワーク」だった。他の作品には、総合的に遠く及ばないと思う。