遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

マイ・レフトフット/ジム・シェリダン

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マイ・レフトフット My Left Foot
原作 クリスティ・ブラウン
脚本 ジム・シェリダンシェーン・コノートン
出演者 ダニエル・デイ=ルイスブレンダ・フリッカーフィオナ・ショウ
日本公開 1990年4月21日
上映時間 103分

【あらすじ】
原作者クリスティ・ブラウンの実話を映画化した作品。生まれながらの重度の脳性小児麻痺により、左足が少し動かせるだけで、後は植物人間同様の生活を余儀なくされている不遇の主人公が、その絶え間ざる努力の末、やがて言語能力を取り戻し、わずかに動く左足を使い絵を描けるようになるまで成長していく姿を描く。


ダニエル・デイ=ルイスは、「マイ・レフトフット」(1989)、
リンカーン」(2012)の3作で、アカデミー主演男優賞を獲得している。

いつか「マイ・レフトフット」を観たいと思いながら、レンタルDVDをチョイスするときにそのことを忘れてしまう。今回は思い出すことができてレンタルしてきた。

重度の脳性小児麻痺の実在の主人公、クリスティ・ブラウンの半生を描いた本作で、デイ=ルイスは、17歳からの主人公の半生を演じた。
デイ=ルイスは、当時すでに当時32歳だったことに驚くが、それよりも小児麻痺の主人公役の演技が素晴らしい。

また、主人公の母親役のブレンダ・フリッカーの、ドキュメンタリー映画かと思わせる自然な演技に感心する。映画の鑑賞後、ブレンダ・フリッカーも、オスカーの助演女優賞を獲得していることを知る。さもありなんの素晴らしい演技だった。

アイルランドはダブリンの、貧しくて大人数の家庭に育った主人公は、たくましい母親と彼女を中心とした家族の愛に包まれて成長していく。
身障者である主人公が成長していく過程で、諸問題が生じてくるのだが、この夢のない愛ある家族は、独特な感覚で描かれていて、じめじめとした感じがしない。むしろ、ユーモアのある明るいタッチで描かれていて、ほのぼのとする。

この、どこかほのぼのとした空気感は、ダブリン出身でアメリカへ移民し、過酷な現実を生きてきた家族出身のジム・シェリダン監督の、来し方に由来するのかもしれない。現実以外に悲しい涙は必要ないのかもしれない。