遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

夢と消えた完全試合/日本シリーズ

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先発でマウンドを踏んだピッチャーは、

完全試合を念じ、

その奇跡が叶わないと、

ノーヒットノーランを夢見、

その夢が叶わないと、

完封試合を望み、

その望みが叶わないと、

完投試合を目指し、

その願いが叶わないと、

勝ち投手になることを願う。


そんな奇跡や希望は、自分のピッチングの出来に、

左右される。

打たれたり、味方のエラーで望みが絶たれ、

野球とはそういうものだと彼らは知っている。


しかし、今日の山井は8回終了まで、パーフェクトだった、

たった一人のランナーも出さなかった、

非の打ちどころのない投球であった。



しかし、監督は9回裏のマウンドに、山井を登らせなかった、

負けるかもしれないというリスクを回避するために、

クローザーの岩瀬に託した。


私は、この監督が嫌いだから今のドラゴンズに何の思い入れもない、

でも、奇跡をこの目で確かめてみたかった。

将来のある若者の奇跡を叶えてやりたかった。


投球数はまだ100球にも満たなかったのに・・・。



そもそも、川上の先発を回避して、

ダルビッシュに山井をぶつけて、

札幌へ行くことも想定していたはずなのに。


川上の後には、中田もいるのに。


このシリーズの流れは中日に傾き、

日ハムの打線はほとんど歯が立たなかったのに。


なのに、この期に及んで、パーフェクトを続けているピッチャーを替えるか?

中日ナインは完全試合を夢見てたのではないか?



この監督が現役時代に、フォア・ザ・チームだったことがあるだろうか。


春先はいつも、ちんたらペースで、

所属チームのロケット・スタートに貢献したことがあるか?

でも帳尻あわせに、夏場以降は彼自身と奥方のためだけに、

春先に温存した体力に物を言わせて打ちまくり、

三冠王を何度か手にした。


なのに、今日はフォア・ザ・チームか?



9回に山井を託して、

それで負けても、いいんではないの?

負けは駄目なら、

1点だけ山井に許してやってもよかったのではないのか?



プロ野球なんだから、夢を売りにしてもいいのではないのか?


球場に来た人も、TV観戦の人も、

中日を応援していない人も、

山井を知らない人も、

完全試合を観たかったのではないだろうか。



ダルビッシュが、

同じシチュエーションで9回に替えられそうになったら、

拒否して拒否して拒否し続けるだろうなぁ。

退場と宣告されるまでマウンドから降りないだろうな。

人の心意気とはそういうものである。


斉藤佑ちゃんや、マー君が同じようなことになったら、

世間が許すだろうか。



うちの奥さんも、「信じられない」を何度も繰り返す、

素人だから信じられないのではない。

ごくフツー人の感覚だと思う。


私は、9回に監督がピーッチャー交代を球審に告げたときに、

戦慄を感じた。

信じられない・・・。