偶然だが、慶應病院で2つの著名な命が相次いで失われた。
ひとつの命は、坂井泉水、もうひとつの命が松岡農相であった。
坂井は癌で入退院を繰り返していたというし、
松岡農相は、遺書が見つかったという。
ともにさびしい最期であった。
坂井の死はうちの子供たちには重い出来事だったようであるし、
松岡の死は、永田町に激震をもたらした出来事であった。
私も、今日の昼食以降「負けないで」を頭の中でずっと歌っている。
カンヌでは河瀬直美監督が、パルムドールに次ぐグランプリを、
「殯(もがり)の森」で受賞した。
殯(もがり)とは、遺体を安置した場所で死者を思う本葬までの期間のこと。
古代、死者は蘇るかもしれないからと、
本葬までの期間、遺体が完全に白骨化するまで殯に仮埋葬したのだという。
ZARDのファンも松岡の関係者も、
しばらくは殯の時を過ごすのであろう。合掌。
以下は、河瀬のカンヌでの受賞スピーチである。
「映画を作るって本当に大変なこと。
それは人生に似ています。
私たちの人生には、たくさんの困難がある。
お金とか服とか車とか、形あるものに心のよりどころを求めようとするが、
そういうものが満たしてくれるのは、ほんの一部。
目に見えないもの
-誰かの思いとか、光とか風とか、亡くなった人の面影とか-
私たちはそういうものに心の支えを見つけたときに、
たった一人でも立っていられる、
そんな生き物だと思います」
立派なスピーチである。