遊びをせんとや生まれけむ

あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。夏目漱石

祝 名人戦3連覇「めいじんになりたい」藤井聡太の現実

藤井聡太名人(22)が第83期名人戦で4勝1敗でタイトルを防衛し、名人戦三連覇を達成しました。

将棋はチェスなどと同じく古代インドのチャトランガが起源とされていて、日本に伝来した時期ははっきりしないようですが、「日本将棋連盟」のHPによると、古い将棋の駒が奈良県で出土したり「新猿楽記」(1058年~1064年?)などに将棋に関する記述があることなどから、少なくとも1000年の歴史があるボードゲームのようです。

そして、江戸時代に現在のルールに整備されたようで、取った相手の駒を使えたり「千日手」のルールなど日本独自のルール確率でチェスより複雑なボードゲームに仕上がりました。

江戸時代には名人は家元制度に基づき大橋本家・大橋分家・伊藤家の世襲制で、一度名人位に就くと亡くなるまで終生名人という家元制度が慶長年間(1612年)から明治(1893年伊藤宗印十一世名人没)の時代にまで続いていました。

その後、将棋関係者の推挙による永世名人が誕生しましたが名人を推挙(小野十二世、関根十三世)する制度に批判など紆余曲折があり、昭和9年(1934年)に現在の実力制名人制度が確立されました。

棋士全員参加の「順位戦」が名人挑戦者決定戦で、最上位クラスのA級順位戦の優勝者が挑戦資格を得るように改められたのが1951年(昭和26年)でした。

実力制名人が確立されて以降の永世名人」の称号は、名人位5期以上を獲得した棋士に与えられ、現在までの永世資格者は、木村義雄(十四世名人)、大山康晴(十五世名人)、中原誠(十六世名人)、谷川浩司(十七世名人)、森内俊之(十八世名人)、羽生善治(十九世名人)の6人を数えます。

私は各棋戦の永世称号のうち、最も名誉ある永世称号はこの名人の永世称号だと思います。

競馬の騎士が「ダービー」を目指すのと同じく、将棋の棋士が目指すのが「名人」で、6歳誕生日に藤井聡太が「おおきくなったらしょうぎのめいじんになりたいです」と幼稚園で作られたお祝いのカードに記されていたことは有名なエピソードです。

3年前、A級1期目での名人挑戦藤井聡太で史上10人目でしたが(10人もいるのに驚きますが)、谷川浩司羽生善治佐藤天彦と同じく、藤井聡太もそのまま名人にまで駆け上がっています。

そして、昨日藤井聡太は22歳で3期目の名人位を獲得しました。アッパレ!

ということで、1000年前にインドから東アジア圏を経て日本に伝来したボードゲームが400年前に将棋として現在のルールに確立されて以来(このかた)、藤井聡太という真の天才と同じ時代に生きていることを僥倖と思わずにはいられないきょうこの頃であります。

 

名人戦第5局開催地の古河市の市長(右)と副市長との記念撮影